法律知識ベースシステムを利用した法学教育方法の開発

1999 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 10359004
• 研究機関: 明治学院大学
• 研究代表者: 吉野 一 明治学院大学, 法学部, 教授 (50062162)
• 研究分担者: 河村 寛治 明治学院大学, 法学部, 教授 (90308073) ; 清水 忠之 明治学院大学, 法学部, 教授 (10162702) ; 加賀山 茂 名古屋大学, 法学部, 教授 (20169379) ; 櫻井 成一郎 東京工業大学, 大学院・情報理工学研究科, 助教授 (20202088) ; 新田 克巳 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 教授 (60293073)
• キーワード: 法学教育 / CAI / 法律 / 人工知能 / 知識ベースシステム / 契約法 / 教育方法 / 法律エキスパートシステム

研究概要

本研究は、重点領域研究「法律エキスパートシステムの開発研究」の研究成果を基礎として、これをさらに進展させ、法律知識ベースを利用した法学教育方法を開発することを目的とする。対象法分野は契約法とする。本年度は、基本的に、昨年度の研究を継続し発展させた。すなわち、(1)法的知識に共通する構造を抽出し、法的知識の一般理論として展開し、論理法学の基本部分を構築した。(2)論理法学の観点から国連売買条約の知識構造を再整理して明らかにした。(3)国連売買条約、ユニドロアおよび日本民法の知識を比較分析し、それらの共通点とともに相違点を明らかにした。(4)国際売買法の知識ベースを拡充し、より多くの説例を解けるようにした。(5)その知識ベースを用いて法的推論を行う「法律エキスパートシステム」のプロトタイプを法学教育に実際に用いるとともに、国の内外においてデモを行い、法学者、裁判官、弁護士等の意見を聴取し、それに基づいて改良の必要な部分を確定して、改訂のための機能設計を行った。(6)そのシステムの改訂をどのようにして実現するか、ソフトウェア工学上の実現方法を検討した。(7)昨年度開発された法律論争システムを改良するとともに、開発された国際売買法の知識ベースの主要部分を法律論争システムに移植して、論争システムによる国際契約法の事例の論争実験を行った。(8)法的推論における発見的側面について分析し、法学教育において創造性をいかなる仕方で育成していくことができるか、またそのために法律知識ベースシステムがいかに利用可能であるかについて検討した。

研究成果

• [文献書誌] 加賀山 茂: "損失利益(4)ー中間利益控除(ホフマン方式)ー"交通事故判例百選〔第4版〕. (1999)
• [文献書誌] 河村 寛治: "国際取引におけるコンプライアンス"JCAジャーナル(国際商事仲裁協会). 12-19 (1999)
• [文献書誌] 河村 寛治: "環境問題と企業経営についての一考察"明治学院法学研究. 68号. 127-178 (1999)
• [文献書誌] 新田克巳,佐藤陽一,安村禎明: "ゲーム理論に基づく交渉支援システムのエージェント化"人工知能学会 人工知能基礎論研究会資料. SIG-FAI 9903ー6. 31-36 (1999)
• [文献書誌] 清水 忠之: "判例研究「仮名で株式を分散し単価未満株式を取得した者による買収請求」ー名古屋地裁 平成8.1.26"ジュリスト. 1164. 115-153 (1999)
• [文献書誌] 櫻井成一朗,乾岳史,熊田禎宣,坂野達郎: "Multiーagent間通信による自律的組織形成に関する基礎的研究ー2次元追跡問題によるシミュレーション"日本社会情報学会第14回全国大会研究発表論文集. 153-158 (1999)
• [文献書誌] 櫻井成一郎,斎藤耕一,熊田禎宣,鈴木寿: "沈下履歴の類似性による擬似均一地盤の同定について"土木学会建設マネジメント研究論文集. Vol.7. 177-182 (1999)
• [文献書誌] 吉野 一 他: "法律人工知能"創成社. 394 (2000)
• [文献書誌] 吉野 一: "法理論学"成文堂. 近刊 (2000)
• [文献書誌] 加賀山 茂 他: "法情報学ネットワーク時代の法学入門"有斐閣. (1999)
• [文献書誌] 河村寛次・舛井一仁・吉川達夫・牧野和夫: "国際法務グローバル・スタンダード17か条"プロスパー企画. (1999)