研究課題/領域番号 |
10400003
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
飯倉 洋治 昭和大学, 医学部, 教授 (30056882)
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研究分担者 |
秦 大資 岸和田市民病院, 医長
細井 進 京都大学, 医学部, 講師 (80144377)
伊藤 由紀子 国立三重病院, 医長
茆原 順一 秋田大学, 医学部, 教授 (80197615)
永井 博弌 岐阜薬科大学, 教授 (90082974)
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キーワード | スギ花粉症 / レーザー治療 / 鼻アレルギー / 即時型反応 / 遅発型反応 |
研究概要 |
スギ花粉症患者の臨床症状で一番初めに出現するのは、鼻、眼の症状である。このことは症状の出現時にいち早くこれらの症状を抑える対応が必要である。しかし、その前に鼻、眼のスギ花半分飛散時期の症状増悪の背景の検討を十分に行う必要がある。そこで、なぜ眼瞼結膜に好酸球浸潤が起こるのかを検討その結果、眼瞼結膜で好酸球を引き寄せるEotaxinの産生が非常に高いことが判明した。次に鼻の症状出現に関してであるが、患者の鼻腔洗浄液中のRantes Eotaxin好酸球顆粒蛋白について検討した。その結果、鼻の洗浄液ではRantesの産生はほとんどみられなかった。一方、鼻洗浄前後でもEotaxinに差が無く高値の状態であった。このことはスギ花粉の症状出現に好酸球が非常に重要な役割をしていて、強力な好酸球を引き寄せるEotaxinが問題になると言える。 また、永井等はIgE産生の強いブラウン・ノルウェー系ラットを用い、鼻アレルギーモデルを作成、感作の成立した後抗原負荷を行い、鼻を還流して血管透過性を検討したところ、即時相では血管の強い透過性亢進を認め、遅発相で強い好酸球浸潤を認めた。この事は、人でも同様な過程で好酸球が鼻に浸潤してくると考えられ、治療面の検討に非常に有益な結果と言える。 小児のスギ花粉症患者の治療に実際は伊藤等が痛みが少なく、しかも侵襲の少ないレーザー治療で効果を検討した。この研究での興味ある結果は、小児は成人と異なりスギ花粉に感作されている場合、ダニにも感作されている人がほとんどで、治療ご4-6ヶ月で再発(ダニの影響)することが多く、再度治療を実施する必要があることが分かった。実際、秦等の研究結果でもスギ花粉単独に陽性の患者は少なく、イネ科、ダニ、雑草花粉に影響を受けている患者が多いことから、小児のスギ花粉症患者の治療は、単独治療でなく幾つかの抗原に感作されていると仮定し、治療の組み立てを行う必要があると言える。この仮説は今までに無く、今回の研究結果から臨床に幾つかのアドバイスが出せる結果であった。
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