研究課題/領域番号 |
10400011
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
真野 明 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (50111258)
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研究分担者 |
長谷部 正彦 宇都宮大学, 大学院・工学研究科, 教授 (80042307)
中川 一 京都大学, 防災研究所, 助教授 (80144393)
高橋 迪夫 日本大学, 工学部, 教授 (50060059)
渡辺 明 福島大学, 教育学部, 教授 (70114006)
丸井 英明 新潟大学, 積雪地域災害研究センター, 教授 (10219545)
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キーワード | 豪雨災害 / 阿武隈川 / 那珂川 / 低頻度災害 / 泥流 / 避難 |
研究概要 |
1998年8月末、東日本に停滞した前線に台風4号が接近して活性化し、那須山地の東側で記録的な大雨が降った。これに伴い、阿武隈川水系と那珂川水系にまたがる雨の中心で、土砂災害と大規模な水害が発生した。本科研費は、降雨の特性、流出特性、水害調査、土砂災害調査、避難、情報伝達、経済被害の各テーマを掲げ、それぞれの専門家からなる、16人の組織編成で調査、解析を行った。 雨は、那須町や西郷村での6日間総降雨量が1200mmを越える大雨であること、また降雨強度が強いことに特徴があり、那須の最大日雨量の再現期間が4000年と見積もられている。この豪雨の形成機構が解析され、下層での温暖な水蒸気の移流、対流圏全層での水平収束場の形成、上層での乾燥した寒冷な空気の流れが関与して積乱雲の発達を促したことが示された。 雨の中心となった地域は、豪雨の頻度が極めて小さく、これに特徴を持つ災害が見られた。福島県南の西郷村では、いくつかの場所で斜面崩壊に伴う泥流が発生し人命が失われたが、警戒はなかった。斜面崩壊は、表層に厚く発達する黒ボク土層の滑動により始まったが、この土層を浸潤飽和させた累加降雨大きさが原因と解析されている。また、黒ボク土の発達には長い時間が必要で低頻度性と関わっている。水害は、雨の中心を流れる、余笹川や堀川などの支川で特に被害が大きかったが、洪水が希有で有ることから、人々が下位の段丘まで降りてきて被害に遭っている。さらに、河道周辺には植生が繁茂していたが、これが洪水で流され、下流の橋桁に引っかかり被害を大きくしている例が数多く見られた。 詳しくは次ページに示す報告書を参照のこと。
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