研究課題/領域番号 |
10410002
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
田中 亨英 北海道大学, 文学部, 教授 (30008958)
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研究分担者 |
中澤 務 北海道大学, 文学部, 助手 (10241283)
田中 伸司 静岡大学, 人文学部, 助教授 (50207099)
千葉 恵 北海道大学, 文学部, 助教授 (30227326)
花井 一典 北海道大学, 文学部, 助教授 (80228501)
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キーワード | ギリシア哲学 / 存在 / 知識 / パルメニデス / ソクラテス / プラトン / アリストテレス |
研究概要 |
本研究の課題は、古代ギリシア哲学における存在概念を、知識を巡る問題との相互依存関係を視野に含めつつ、総合的な観点から探究し、存在の問題と知識の問題との密接な相互連関を浮かび上がらせることにあるが、初年度である本年度は、この目的を達成するための基礎的作業をおこなった。各研究分担者は、それぞれ、本研究のテーマに沿った視点から自分の研究成果を整理し直し、不足点を補う作業に取り組んだ。具体的には、(1)田中伸司は、ソクラテスにおける知と存在の問題を、プラトンの初期対話篇の思想を中心にまとめた。また、ソクラテス的な立場と『国家』篇を中心とするプラトン中期思想の立場を比較し、その継承と発展を姿を明確にする作業をおこなった。(2)中澤は、プラトンにおける存在の問題を中・後期対話篇を中心に考察した。特に『パイドン』と『国家』におけるイデア論と知識の問題、 『テアイテトス』 『ソピステス』における存在の問題等、プラトン哲学における存在概念と知識の連関について考察した。(3)千葉は、アリストテレスの存在概念についてさらに考察を進めた。(4)花井は、プラトン・アリストテレスにおける存在と知識の問題を包括的な視点からまとめ、その意味を考察した。特に、中世哲学におけるギリシア哲学の受容と消化という視点から、トマス・アクイナスのアリストテレス理解に関する基礎的な分析をおこなった。(5)田中亨英は、存在と知識の連関を、ソクラテス以前の哲学者(特にパルメニデス)、プラトン、アリストテレスについて広い視野から考察した。特に、プラトンの『メノン』とアリストテレスの『分析論後書』における探究論の構造に関してその共通点を指摘し、この問題に関する新しい視点を提示した。
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