研究課題/領域番号 |
10410007
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研究機関 | 国際仏教学大学院大学 |
研究代表者 |
津田 眞一 国際仏教学大学院大学, 仏教学研究科, 教授 (60124301)
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研究分担者 |
デュルト ユベール 国際仏教学大学院大学, 仏教学研究科, 教授 (20288070)
平川 彰 国際仏教学大学院大学, 仏教学研究科, 教授 (70011244)
原 實 国際仏教学大学院大学, 仏教学研究科, 教授 (40011283)
鎌田 茂雄 国際仏教学大学院大学, 仏教学研究科, 教授 (80012970)
今西 順吉 国際仏教学大学院大学, 仏教学研究科, 教授 (70000594)
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キーワード | 現在終末論 / 終末論的実存の弁証法 / 非神話化 / 再神話化 / プルシャ / 法界の空 / 自然法爾 / グノーシス |
研究概要 |
本研究も規定の4箇年度を経過し、各研究分担者は各自の分野において所期の成果に到達した。また本研究代表者の考究はそれらの各論に共通の基盤と方向づけを提供すべき総論的な研究にいくつかの進展を見た。 仏教学の立場から環境倫理基礎論の定礎を目指す本研究の遂行においてまず意識されねばならないのは、終末論の克服という一つの動機である。仏教の原則において環境世界(器人間)は人間の内面性の反映としての依報とされ、それは正報としての人間世界(衆生世間)とZwiefalt的に世界観念を形成する。したがって環境倫理という指向はこの世界の存続を前提とするのであり、それはまず、この世界を神の被造物と見なし、そして近未来におけるその終末を根本信条とするキリスト教の世界観との対質を迫られる。われわれはまず、「現在終末論」という「非神論化」の方向における実存論的解釈によってキリスト教伝統の終末史的終末論の克服を企図したR.ブルトマンの神学を検討し、イエス・キリストの出来事によって現在化した終末=神の国が、しかも個々の人間の信仰の決断によって改めて現成し、その決断の不断の持続によって維持されるという構想が、大乗仏教・華厳の法界の空という構想と全同のもの、しかもそれが仏教の思想史を逆に辿ってその神話論的源泉をなすプルシャの広義におけるグノーシス的世界構想に還元されること、もう一つ、当初、ブルトマンの「終末論的実存の弁証法」と同一の立場にあったK.バルトがこの世界の空という事態を回避するため結局旧来のドグマ的な終末史的終末論に立ち戻らざるを得なかった事実を確認し、環境倫理的考究がやはり再神話化的レヴェルにおける何らかの神話論的構想をその最終的な拠り所とせざるを得ないものであることを確認した。 本題の仏教学において、われわれは同様の経過を親鷺の自然法爾から西田の行為的直観の立場への展開において確認した。
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