研究課題/領域番号 |
10410009
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
島薗 進 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (20143620)
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研究分担者 |
藤井 健志 東京学芸大学, 教育学部, 助教授 (10189996)
関 一敏 九州大学, 人間環境学研究科, 助教授 (50179321)
鶴岡 賀雄 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 助教授 (60180056)
深澤 英隆 一橋大学, 社会学部, 助教授 (30208912)
石井 研士 国学院大学, 文学部, 助教授 (90176131)
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キーワード | 宗教概念 / 近代宗教学 / 国家神道 / 神道学 / 神秘主義 / 政教分離 / 呪術 / 民俗宗教 |
研究概要 |
本年は本研究のまとめの年にあたり、これまでの蓄積を踏まえて、各自の成果を出し合い、共同研究の到達点を確認しようとした。「宗教」概念の形成過程と現在に至るまでのその変容の過程という問題は、日本を中心としつつ、世界各地の比較において格段に究明が進んだ。日本については、明治期における「国家神道」の形成から、戦後の「神道指令」と「国家神道」の解体に至る経緯を、「宗教」概念の適用ど錯綜のプロセスとしてとらえる視点が明確化してきた。明治以前の関連する諸概念について、またそれらが明治維新以降、どのように再編されていったかについて検討していくと、これまで「国家神道」について十分、明らかにされていなかった論点を示しながら、現代に至る日本の宗教制度や宗教構造の特徴を考察していくことができることが示された。比較という点では、本年度は18世紀以来の欧米の状況について「神秘主義」概念の考察を通して理解がさらに深まるとともに、中国を中心とした東アジア世界の支配的な精神伝統である儒教がそもそも「宗教」であるが否かをめぐる議論への探求が深まり、これまでの成果をさらに多面化し、重層化していくことができた。欧米での「宗教」概念史研究の近年の成果とこの共同研究の成果とのつきあわせの作業も、可能なかぎり行うことができた。宗教学の展開についての考察は、「宗教」概念についての研究と関連づけながら進められ、ここでもかなりの成果をあげることができた。日本の宗教学の歴史について、近代的な「宗教」概念に基本的に寄り添いながら、時にそれとの軋轢を経験してきたプロセスとして、19世紀後半から20世紀後半に及ぶ長期的展望の下で検討を加えることができた。世界的な展望の下でさらにこの成果を深めるべく、その基礎を築くことができた。
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