研究課題/領域番号 |
10410013
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
杉橋 陽一 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (50015278)
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研究分担者 |
長木 誠司 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (50292842)
一條 麻美子 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (30213987)
田中 純 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (10251331)
石光 泰夫 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (60093366)
中村 健之介 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (10000613)
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キーワード | メディア / 印刷 / 説話 / 舞台芸術 / 検閲 / タイプライター / 写真 / 楽譜 |
研究概要 |
本年度は研究全体の基礎的作業として、メディア論、およびその芸術史への援用に関連した基礎的な資料を蒐集し、今後への準備としながら、主として各時代、各ジャンルの芸術が依拠してきたメディア環境の調査・研究をおこなった。各分担者は、蒐集された資料を共同利用して、次のようにメディア的条件および環境に関する研究・調査、分析を実行した。 1. ヨーロッパ中世の伝説・説話の語り・伝承の場を形成するための保存と継承のシステムの構造を解析した(一條)。2.近世における聖書釈義および文学作品の解釈において、活字メディアの果たした役割をハーマンをはじめとする哲学者の著作に即して明らかにした(川中子)。3.貴族社会から市民社会への移行期における、舞台芸術の場の形成と受け手の広がりをメディア論と身体論の位相から分析した(石光)。4.ロシア革命前後における前衛芸術に対して行われた検閲の変遷を通して、権力とメディアの相関関係を具体的に跡づけた(中村)。5.ドイツ教養小説成立期から現代文学への移行期にかけて、大量印刷の技術とタイプライターの発明が文学表現にもたらした影響を検討した(杉橋)。6.同時期のフランスにおける状況について、ことにマラルメの創作手法に与えた文字メディアの影響を中心に分析した(岩佐)。7.中世における大聖堂など、伝統的に建築が担ってきたメディア機能の近代における変容を、とくに写真に撮影された建築のタイポロジーに注目して検証した(田中)。8.市民社会期における楽譜印刷・出版の大量化が音楽作品概念の成立に果たした役割を、音楽学とメディア論の両面から分析した(長木)。9.国民国家形成期における俗語革命をめぐって、日本語文学を用意したメディア環境を小説作品を中心に検討した(中村・杉橋)。
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