研究課題/領域番号 |
10410024
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
西川 泰夫 北海道大学, 文学部, 教授 (70053642)
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研究分担者 |
高砂 美樹 山野美容芸術短期大学, 講師 (40261763)
辻 敬一郎 名古屋大学, 文学部, 教授 (20023591)
詫摩 武俊 東京国際大学, 人間社会学部, 教授 (90086934)
児玉 斉二 日本大学, 文理学部, 教授 (50059169)
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キーワード | 日本の心理学史 / 実験心理学史 / 歴史的心理学実験機器 / ドイツにおける日本人心理学者の足跡 / ドイツ、オランダの心理学史資料館 / バーチャル・アーカイブ |
研究概要 |
本年度の研究実施計画に基づき以下の諸点を中心に実施し当初の計画を予定通り遂行した。 1、当研究計画に関するレビューを受けるために心理学発祥の地ドイツの諸大学やオランダの大学と各研究者、並びに資料館(アーカイブ)を訪問した。ドイツは、ライプチヒ大学、ベルリン(フンボルト)大学、ロストック大学、パッサウ大学など、オランダはフローニンゲン大学であった。加え、当時の日本人留学生や訪問者の動向調査、資料収集を行った。また、各地で代表的な心理学史研究者と討議、情報交換を行った。 2、アメリカの場合と異なり、ヨーロッパには日本人に関する記録は必ずしも組織的に残されてはいないことが明らかになった。ドイツをはじめとするヨーロッパに本来の意味での留学した心理学関係者はきわめて少数に限定される。これはその当時の日本側の事情によると推測される。多くは、最先端の学問に触れる機会として派遣され、できるだけ各地を視察しその情報を日本に持ち帰るという使命に主眼があったといえよう。これは、日本の大学制度が確立し拡大期に入ることによって、主として教授就任予定者に対してこれを求めたことによろう。学生として留学し学位を取得するという役割は、必ずしも求められていないといえよう。しかし、この一方では、当該の日本人の足跡をきちんと押さえた資料の収集や、事実の発掘という問題が今後に残されている。この面からも、資料の保管のみならずこれらをいかに組織的に整理し後世に伝えていくか、その方法論をはじめ歴史資料館(アーカイブ)の役割を再認識することになった。 3、初年度の成果をまとめる作業に取り組んだ。「心理学史・心理学論」誌、「心理学評論」誌などに、明治・大正期の心理学受容過程の考証や、実験心理学をささえる「歴史的心理学実験機器」をめぐる考察を公刊した。 4、国内の研究者からの貴重な資料や証言の収集を図り、かつ心理学史論の確立にむけ理論的整備を試みた。同時に、収集資料をインターネット上のホーム・ページあるいはバーチャル・アーカイブで広く公開している。
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