研究課題/領域番号 |
10410028
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | (財)東京都神経科学総合研究所 |
研究代表者 |
渡辺 正孝 (財)東京都神経科学総合研究所, 心理学研究部門, 副参事研究員 (50092383)
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研究分担者 |
小島 崇 (財)東京都神経科学総合研究所, 心理学研究部門, 主事研究員 (30225429)
彦坂 和雄 (財)東京都神経科学総合研究所, 心理学研究部門, 主事研究員 (60129004)
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キーワード | 期待 / 前頭連合野 / サル / 学習 / 逆転 / ニューロン活動 / 報酬 / 意味 |
研究概要 |
「何かが期待できる、あるいはできない」という課題状況においた動物(サル)の前頭連合野の脳活動を調べることにより「期待」の「成立とその変容のメカニズム」を明らかにする試みを行っている。課題ではオペラント反応に対して(1)報酬が与えられるか否か、与えられるとしたらどのような報酬が与えられるのか、または(2)どのような確率や順序で報酬が与えられるか、という手がかり刺激がサルに与えられる。今年度はこうした過程を前頭連合野のニューロン活動のレベルで分析する研究を主に行った。また、「期待」に関係して活性化する脳部位を調べるPET実験のためのサルの訓練も行った。ニューロン活動に関する実験結果は以下のとおりである。 (1) 報酬を予告する刺激としない刺激の手がかりとしての意味を逆転すると、始めの数試行ではサルの行動上(反応時間は報酬試行で短い)は、それぞれの刺激の逆転前の意味を反映していた。また、ニューロン活動のレベルでも、それぞれの手がかり刺激の逆転前の意味に応じた反応がみられた。しかし、2-5試行の間にニューロンの活動は変化し、新たな意味を反映するようになった。時には一旦逆転が起こっても、逆転前の反応に再度戻ってしまうことも見られたが、最終的には10試行程度で新たな意味を反映した活動を安定的に示すようになった。一方、逆転直後の反応時間はかなり変動が激しく、安定するのに10試行以上を要する場合が多かった。 (2) オペラント反応に対して与えられる報酬の種類を予告なく変更してみると、新たな報酬への期待の過程をニューロン活動のレベルで追うことができた。報酬の種類の変更の場合も、最初の数試行では変更前の報酬を期待することに関係した活動が見られたが、その後徐々に新たな報酬の期待に関係した活動に変化した。反応時間のレベルでも、(1)の手がかりの意味の変更と類似した傾向が見られた。
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