研究概要 |
生得的に有している個人的欲求レベルとしての自己決定欲求の強さと社会のなかで形成される社会的意識としての自己決定権意識の高さとの関係を,小学生,中学生,高校生を対象に調査研究した.その結果,いずれの年齢の児童・生徒においても,0.8程度の相関が見られ,自己決定欲求の強さと自己決定権意識の高さとに強い関係が明らかになった.また,子どもの自己決定権意識の高さと自分に自己決定する力があると考える「自己決定能力の認知」の高さとの関係は,小学生,中学生において0.4程度の相関が見られたのに対し高校生は0.2程度の相関に低下しており,両者の関係が年齢で異なってくることが見出された.さらに,子どもの自己決定欲求の強さと「自己決定能力の認知」の高さについては,いずれの年齢においても0.4程度の相関が見られ,両者の関係は年齢により変化がみられないことが明らかになった. 一方,子どもの自己決定を家庭で保護者がどの程度認めるかを調べた「子どもの自己決定環境」と子どもの自己決定権意識との相関は,いずれの年齢の児童・生徒において0.01程度の相関しか得られなく,子どもの自己決定を認めることと子どもが自己決定権意識をもつことに関連がないことが明らかになった.
|