研究課題/領域番号 |
10410032
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 東京学芸大学 |
研究代表者 |
太田 昌孝 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (00010281)
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研究分担者 |
清水 直治 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (80134774)
若葉 陽子 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (20014730)
〓田 征子 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (30090533)
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キーワード | 平衡機能 / 事象関連電位 / 運動能力 / 診断・評価 / 知的障害者 / 健常者 |
研究概要 |
本年度は、診断・評価プログラム開発を中心に研究を進め、他の分担領域では2年度からの本格的な作業に向けての資料整理を主に行った。診断・評価プログラム開発については、運動能力の一指標として平衡機能に着目し、健常者及び知的発達障害者を対象とした平衡機能の評価法確立に向けた基礎的研究を実施した。平衡機能は姿勢、歩行など、様々な基礎的運動活動の基礎となる能力であるが、知的障害者では、種々の運動能力のうちでも特に平衡機能が低下していることが古くから指摘されている。そこで、知的障害者の平衡機能のアセスメントの方法として、被験者の負担は軽く、知的障害者の測定に適していると考えられる身体動揺測定に注目した。本年度は30名程度の知的障害者に予備的にこの測定を行い、その有効性を調べたところ、それが知的障害者の平衡機能アセスメントの方法として適している可能性が示唆された。次年度は、更に多くの被験者に測定を行い、測定の妥当性を確認していく予定である。 本年度は、診断・評価のもう一つの方法として聴覚性の事象関連電位を指標とした言語音の識別能力の検討を実施した。ここでは、知的障害者2名および健常成人4名を対象に非注意事態下の複合音に対する定位を検討した。2刺激オッドボール課題を用い、被験者がビデオ視聴または読書を行っている間に1794Hz純音を標準音刺激、合成母音/e/を逸脱音刺激として提示した。その結果、逸脱音に対する事象関連電位の基本パターンは全被験者に共通であり、高振幅のミスマッチ陰性電位に続き受動的注意に関わる陽性電位が出現した。しかし、知的障害者では健常成人と比べミスマッチ陰性電位の振幅がより小さく、聴覚性感覚記憶の障害を示唆した。現在、さらに多くの知的障害および健常事例について上記の知見の実験的検証を進めている。
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