研究課題/領域番号 |
10410044
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
伊藤 守 新潟大学, 人文学部, 教授 (30232474)
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研究分担者 |
大石 裕 慶応義塾大学, 法学部, 教授 (40213623)
中村 潔 新潟大学, 人文学部, 助教授 (60217841)
杉原 名穂子 新潟大学, 人文学部, 助教授 (00251687)
松井 克浩 新潟大学, 人文学部, 助教授 (50238929)
渡邊 登 新潟大学, 人文学部, 助教授 (50250395)
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キーワード | 原子力発電 / 住民投票 / 巻町 / 自己決定権 / 反原発運動 |
研究概要 |
日本ではじめて「住民投票」を実施した新潟県巻町の住民意識、さらに「住民投票」実行に向けて市民運動を展開したリーダー層の意識と活動形態を明らかにするために、今年度は「地域生活と住民意識についてのアンケート調査」(巻町有権者を対象に抽出した1169名に対して行った郵送調査で、有効回答数は533名・回収率45.59%)を行うとともに、「原発反対」各派、「住民投票を実行する会」、「原発推進」派、それぞれの聞き取り調査を行った。 アンケート調査から明らかとなったのは、「女性」が「男性」と比較して「原発の危険性に対する不安」の意識が強く、「巻町への建設」と同時に「エネルギー源としての原発」についても「必要ない」が有意に高いこと、「住民投票」自体には多くの町民が共感を寄せていること(全体で6割)、「住民投票」を強く支持した層は「女性」では「30代」 「40代」、「男性」では「40代」であることなどである。 「原発反対」各派のリーダー層の聞き取り調査からは、反対運動に従来参加していなかった女性層とりわけ主婦層が運動に参加していることや、その活動スタイルも「個性」 「自由意思の尊重」 「主体的参加」といったこれまで大都市圏の女性たちの「市民運動」にみられたスタイルとの共通性があることが明らかとなった。またもう一方の運動主体である「住民投票を実行する会」は、地付きの自営業者層を中心としたこれまで「保守」派との結びつきが強い階層の人たちであったことや、徹底的な公開性を原則とする活動のスタイルによって、従来の枠組みにとらわれない広範な支持を町民から勝ち得たことがわかった。 99年4月以降は、以上の点を踏まえ、農民層、自営業者、女性層にターゲットを絞ってより突っ込んだ聞き取り調査を実施し、男女・世代間の関係、地域コミュニティ内の関係さらに巻町の政治的権力関係などがどう変化しているか、分析を加える予定である。
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