研究目的は西南日本の農村(主に過疎地域)に居住しているアジア系外国人妻を対象として、彼女らの農村への流入時から現在に至までの生活過程とその世帯の家計構造や老親との生活の共同・分離度及び老親扶養意識などについて大量調査とインテンシィヴな事例調査を行うことにしている。平成10年8月には、その量的把握の予備調査として、愛媛県松山市の県庁を訪問し、愛媛県内の各市町村に居住している外国人妻の状況をヒヤリングした。その結果、各市町村に相当数の外国人妻のいることが明らかになった。そのため、量的調査については、当初、予定していた愛媛、徳島、高知(四国三県)の山間過疎地域、島根県(山陰)の山間過疎地域及び宮崎、鹿児島県の山間過疎地域に限定していた市町村から四国各県の市町村、九州各県の市町村及び島根県の各市町村へ大幅に拡大することにした。その大量調査(郵送調査)は平成11年2月に行った。発送市町村は、島根県59、香川県43、愛媛県70、高知県53、徳島県50、佐賀県49、長崎県79、大分県58、、福岡県76、熊本県95、宮崎県44、鹿児島県96の合計772市町村、回収数は497市町村、回収率は64.4%である。現在、回収したケースを入力中であるが、韓国、中国、フィリピンなどアジアの主な国々はもちろん、ブラジル、ペルー、コロンビア、エクアドル、インドネシア、タイ、マレーシアなど10数カ国から来日し、生活しており、農村の国際化が一段と進んでいることが明らかとなった。この調査は、今後のケーススタディのスクリーニング調査でもあるが、その一方では、平成11年3月に地域社会へのコミットメントや老親扶養意識などについて(大量調査の予備調査として)、韓国人、フィリピン人、中国人の外国人妻を対象とし、直接ヒヤリング調査をすることができた。
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