研究課題/領域番号 |
10410054
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研究機関 | 東京経済大学 |
研究代表者 |
奥山 正司 東京経済大学, 現代法学部, 教授 (50073036)
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研究分担者 |
王 偉 中国社会科学院, 日本研究所, 研究員
中谷 陽明 日本女子大学, 人間社会学部, 助教授 (00198128)
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キーワード | アジア系外国人妻 / 西南日本 / 農村 / 後継者問題 / 老親扶養 / 居住形態 |
研究概要 |
本年度は、西南日本におけるアジア系外国人妻の生活史、現在の生活状況と老親扶養等を中心とした事項について詳細なケーススタディを考えていた。ところが、農村地域の市町村では、個人情報の保護条例により、研究対象となるアジア系外国人妻の住所.氏名を一切明らかにしなくなっている。そのため、西南日本の農村におけるこの種の調査は、きわめて困難であったが、インターネットを活用し、岡山県矢掛町のM夫妻(妻は中国人)及び美星町のA夫妻(妻は中国人)に面接することができ、その2ケースを分析検討することができた。そこでは、東北日本のような老親子同居の居住形態ではなく、それぞれ独立した家屋に居住しており、異文化における老親子の扶養問題はそれほど大きな問題にはなっていないということが判明した。したがって、研究実施計画にも書いたように、農家の外国人妻の問題は老親と同居を基本としている東北日本の農家・農村の方がいえ問題や後継者問題と絡んできわめて重要であることが改めて明らかになった。そのため、比較的協力をえやすく、ケースを照会して頂いている外国人妻問題では先進地域である山形県最上郡や秋田県羽後町において同様のケーススタディを行った。そこでは、出身国別では、フィリピン、韓国、中国の3カ国が滞在者全体の過半数を占め、地域に根ざした生活をしていた。しかし、その一方では、中国の大都市出身者(例えば、上海)や韓国のソウル市居住の経験をもつ外国人妻は日本の農村よりもはるかに都市的な生活様式を経験し、その後に日本の農村に流入しているため、農村での古い生活様式に不適応を起こし、離婚に至っているケースがきわめて多かった。ましてや、老親が介護が必要になった時点では、日本人の妻よりも早めに特別養護老人ホームを利用するなど施設サービス利用に傾斜していることが明らかになった
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