研究課題/領域番号 |
10410063
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 東京都立短期大学 |
研究代表者 |
和田 清美 東京都立短期大学, 都市生活学科, 助教授 (40211677)
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研究分担者 |
大井 伸子 岡山大学, 医療技術短大部, 助教授 (60155041)
高桑 史子 東京都立短期大学, 文化国際学科, 助教授 (90289984)
大矢根 淳 江戸川大学, 社会学部, 専任講師 (80281319)
竹中 英紀 桃山学院大学, 社会学部, 助教授 (30257737)
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キーワード | 都市社会変動 / 町内会・自治会 / 防災組織 / コミュニティ |
研究概要 |
本研究は、国際化、情報化、技術革新、少子・高齢化の進展に伴う日本社会の変化を、それが先鋭的に立ち現れている都市社会において解明することを課題にしている。このすぐれて現実的課題を、様々な人間の集団的組織活動である住民組織の形態的変化、内的結合関係の変化、関係を取り結ぶ市民=住民意識の動向から明らかにするところに本研究の中心がある。研究対象は、大都市圏-東京圏と東海圏-の住民組織とし、二つの地域・型-既成市街地、周辺市街地(郊外)一をとりあげる。その際、福祉的視点からの接近、防災的視点からの接近もおこなう。ここに本研究の特色がある。研究は3ヵ年にわたっているが、第1年度にあたる本年は、まず、先行研究の整理・検討のための研究会(合宿含む)を6回開催し、現段階における国内外の住民組織の研究動向を把握した。その作業と同時並行的に来年度実施する住民組織のアンケート調査の設計並びに調査対象地の選定のため、各都市の住民組織の現地調査(主に聞き取り調査方式)を実施した。当初本年度は東京圏のみで現地調査を進める予定であったが、来年度実施するアンケート調査の時期や予算の点から、本年度は両都市圏を同時に進めるよう計画変更することとした。したがって、本年度は東京圏と東海圏を中心にしつつ、またそれ以外の都市の住民組織の動向についても現地調査を実施した。その結果、本年度の調査研究による知見は以下のとおりである。 (1)両都市圏にあっても多様な住民組織が多様な活動をしているが、その中でも町内会・自治会は、都市化の進展に伴い加入率が低下するとの一般的傾向がみられるものの、それでも他の住民組織と比べると高い組織率を維持していることがあきらかに」なった。 (2)町内会・自治会の組織構成や運営のあり方は従来のそれを踏襲し顕著な変化はみられなかったが、担い手層の階層や意識に変化がみられた。仮説・図式的に言えば、都市自営業者層から、上層ホワイトホワカラー、具体的には退職公務員や教員(しかも地付き層)への変化が認められた。 (3)機能的には、近年の少子・高齢化、防災などの地域課題に対応し、こうした事業を取りくんでいるところもみられる。しかし、町内会・自治会の事業には行政からの依頼業務が多い。このことが町内会・自治会の存続の要因と考えられる。 以上のように、本年度調査から、現代日本の都市社会にあってもなお伝統的な住民組織である町会・自治会が重要な住民組織であることがあきらかになり、さらにはリーダー層の変化、行政との関係等の問題もあきらかになった。したがって来年度は町内会・自治会を対象としたアンケート調査の実施をすすめていくことになる。
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