研究課題/領域番号 |
10410072
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
教育学
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
吉本 圭一 九州大学, 大学院・人間環境学研究院, 助教授 (30249924)
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研究分担者 |
小方 直幸 広島大学, 高等教育研究開発センター, 助教授 (20314776)
秋永 雄一 東北大学, 大学院・教育学研究科, 助教授 (90212430)
小杉 礼子 日本労働研究機構, 研究所, 主任研究員
稲永 由紀 広島大学, 高等教育研究開発センター, 助手 (80315027)
伊藤 友子 熊本学園大学, 外国語学部, 助教授 (30231153)
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研究期間 (年度) |
1998 – 2000
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キーワード | 高等教育 / 労働市場 / 就職 / 国際比較 / 卒業生調査 / 職業的能力 / キャリア形成 / 欧州 |
研究概要 |
本研究は、日欧12ヶ国(欧州側はオーストリア、チェコ、フィンランド、フランス、ドイツ、イタリア、ノルウェー、スペイン、スウェーデン、オランダ、イギリス)の高等教育修了者の大学経験と職業経歴について、共通の枠組みでの実証的な比較研究を実施した。日欧で共通の英語版マスター調査票を開発し、各国で翻訳し調査実施した。日本では、郵送調査をもとに、大卒後3年を経過した卒業者3421、大卒後8〜10年を経過した卒業者2585のサンプルを収集し、欧州11ヶ国の収集した3万5千サンプルと比較し分析を行った。なお、対象者に対しては、こうして共通化されたデータを用いながら、A4版8頁の調査結果概要をまとめ、2000年3月に調査対象者へのフィードバックを行った。 また、2000年5〜6月には、欧州側研究者を招聘して、分析のためのワークショップ及び結果の一部を紹介するために国際セミナーを開催した。また、これと平行して、欧州各国の高等教育制度と労働市場への移行の特徴について、欧州各国から出されているカントリーレポートの翻訳および検討をおこなった。 共同研究の成果は報告書に詳述されているが、特に、(1)就業体験との関連で、欧州における学生の入学前・在学中での経験の多様性と日本における就業経験の少なさ、若年で等質的・標準化したキャリアという基本的な差異を確認した。また、(2)日本における職業への移行の円滑さと支援システムの基礎が確立しているとともに、就職協定の廃止やインターンシップ導入などとともに、欧州の個人主導型の多様な職業への移行パターンが始まりつつあることが明らかになった。(3)大学知識と職業的な能力との関係は、日本でもっとも疑問視されているが、欧州でも、卒業者の年齢が若いフランスなどでも、同じような社会的な認識があり、彼らに対する職業的な能力の必要性の高さと現実の知識・技術への評価の低さは、そうした社会認識の産物でもあることが明らかになった。
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