研究課題/領域番号 |
10410085
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 相愛大学 |
研究代表者 |
山本 幸男 相愛大学, 人文学部, 教授 (50220504)
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研究分担者 |
宮崎 健司 大谷大学, 短期大学部, 助教授 (50239381)
森 明彦 関西福祉科学大学, 助教授 (90231638)
栄原 永遠男 大阪市立大学, 文学部, 教授 (80102979)
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キーワード | 正倉院文書 / 写経所 / 帳簿 / 復原 / 奈良仏教 / 東大寺 |
研究概要 |
1. 写経所文書の研究は、帳簿の復原研究から始まる。東京大学史料編纂所による原本調査の成果が『正倉院文書目録』にまとめられ,正集・続修・続修後集収載の帳簿の一部が原形に復されているが、続修別集・続々修・塵芥収載の大半の帳簿がいくつかの断簡に分かれたままになっている.山本・栄原・森・宮崎は、7月23日に会合を持ち、こうした帳簿復原のための作業計画を検討した.その結果、今年度は、山本・栄原は正集と続々修、森・宮崎は続修と続々修にそれぞれ収載される帳簿の内容を検討し、紙焼写真を観察して復原を行うこと、その成果は共同研究者を中心に構成する「写経所文書研究会」で発表すること、年度内に山本が東京大学史料編纂所へ調査のために出張すること、などが決定された. 2. 12月25日に第1回写経所文書研究会が開かれ、山本が「天平宝字6〜8年の写経について」と題して発表を行なった.そこでは、当該年に実施された16件の写経に関する帳簿の復原案、各写経の経過などが示され、天平宝字6年12月〜7年7月の期間に行なわれた写経では予算書や出納関係の帳簿が比較的よく残ること、個別写経に関しては6年12月〜閏12月に始まる十二灌頂経書写・二部大般若経書写に合わせて写経所が新たに設置されることなどが明らかにされた.また、山本と栄原は、研究成果の一部を刊行した(「研究発表」欄を参照)。 3. 1999年2月24日、山本は東京大学史料編纂所に出張し、明治期に作成された「正倉院文書(宮内省本)」「正倉院御物目録(古文書)」などを実見し、続々修に編成される以前の帳簿の状態を調査した.その結果、比較的原形をとどめるとされてきた続々修収載の帳簿は、編成時に相当の貼り継ぎがあったことが確認された.ただし、調査は未完であるため、次年度も継続して行なう予定である.
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