研究課題/領域番号 |
10410087
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
濱田 正美 神戸大学, 文学部, 教授 (30109061)
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研究分担者 |
石川 禎浩 神戸大学, 文学部, 助教授 (10222978)
森 紀子 神戸大学, 文学部, 教授 (50241154)
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キーワード | 中国 / 宗教 / イスラーム / 孔教 / キリスト教 / 中国革命 |
研究概要 |
濱田は中国イスラームにおける神秘主義関する研究を、張中著『帰真総義』の読解を中心に継続し、特に中国固有の哲学思想との関係について一定の見通しを得たので、その成果の一部について1999年3月2日にフランス国立社会科学高等研究院で講演を行った。またこの講演を日本語に移すとともに補訂を加た論文「『帰真総義』初探」を執筆した。濱田と石川は、昨年10月、中国寧夏回族自治区の銀川と甘粛省の蘭州を訪れ、現地の研究者からブリーフィングを受け、研究状況に関する情報を交換し、かつ現地の回族が私的に刊行している(従ってわが国の取り次ぎ書店では入手不能な)多くの漢文及びアラビア語の文献を収集した。森は、中国の宗教問題に関する二編の論文、「中国近代化と宗教問題」、「梁啓超の仏学と日本」を執筆して近代中国における宗教という観念の発生と展開の経緯をあとづけた。また、本年1月にはシンガポールに出張し、この地における孔教運動の歴史と現状、並びに儒仏道の三教合一の宗教実践に関して調査し、三教にイスラームを加えた興味深いシンクレティズムについても知見を得、現地の専門家との意見交換を行った。石川は論文「梁啓超と文明の視座」を執筆して、東アジアにおいて文明という言説が共有された過程に注目し、キリスト教やマルクス主義などの外来思想の受容の背景となる思想状況を明らかにした。 近年、特に台湾では儒仏道以外の民間宗教の典籍の類も多く刊行されており、これらの収集にも相当の進展を見た。これら典籍類の相互比較と検討は、新年度の課題である。
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