研究課題
基盤研究(B)
本研究は、現代の最大の関心事であるヨーロッパの再編の動きを視野に置きながら、古代のオリエント、ギリシア・ローマから、中世・近世のヨーロッパとアメリカにいたる、諸時代と諸地域について、政治史・経済史・社会史・宗教史・文化史の諸分野を横断して、「分化と統合」の観点からそのダイナミズムを検討することが課題である。「分化と統合」概念がもつダイナミズムが、歴史学に今要求されている全体性・総合性に有効なパースペクテイブを与えると期待される。四年計画の初年度である平成10年度においては、研究分担の確認と資料収集が中心的な活動になった。研究分担は計画書の通りに、古代史、中世史、西欧近現代史、東欧中・近世史、北欧近現代史、アメリカ近現代史に分けた。中心となる主題としては、前田がシュメールにおける国家統合と民族、小林が古代ローマの思想、野口が統合体としての中世カトリック教会、小倉が神聖ローマ帝国と帝国都市の関係、井内がポーランドとリトアニアとの合同関係の推移、松園がイングランドとスコットランド関係、安斎が18世紀フランスのユダヤ人世界、大内が近代ドイツ、村井がスカンディナヴィア、竹本がアメリカの国民統合になることを、現状として確認した。ただし、研究分担者の関心の中心が政治史、宗教史、思想史、都市史、科学史等々に分散している状況から、分担課題のさらなる調整を進る必要性が認められる。さらに、中心となる論点の整理と、全体に占める個々の課題の位置づけについては次年度に持ち越された。分担課題の調整と明確化をはかると同時に、研究分担者各々は、研究に必要な図書・資料の収集を積極的に進めた。
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