研究課題/領域番号 |
10410093
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
桑山 正進 京都大学, 人文科学研究所, 教授 (20027551)
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研究分担者 |
真下 裕之 京都大学, 人文科学研究所, 助手 (70303899)
稲本 泰生 京都大学, 人文科学研究所, 助手 (70252509)
稲葉 穣 龍谷大学, 国際文化学部, 助教授 (60201935)
上原 真人 京都大学, 文学研究科, 教授 (70132743)
高田 時雄 京都大学, 人文科学研究所, 教授 (60150249)
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キーワード | 石窟 / 仏教 / 中国 / 中央アジア / インド / 建築 |
研究概要 |
ある時代ある地域の仏教文化の実態を具体的な形で提示してくれるのが仏教石窟寺院である。従来考古学や美術史の分野がそれぞれの方法論を基に排他的に研究を行ない、石窟はある地域の中で個別的に研究されてきたにすぎない。それでも石窟が建築として展開した過程はざっとわかってきた。しかし、とりわけ文字資料を扱う専門分野のような隣接の科学との、交流はなおざりにされてきたから、石窟がその地域ばかりでなく、さらに広い地域の中でどのように歴史に位置づけられるがという問題にはなんら解答がえられていない。本研究は、インド、中央アジア、中国で多数造営されたこれら石窟寺院に関して、地域独立的な研究の成果を再検討し、石窟の本質的な問題を通地域記的通時間的に俯瞰し、隣接諸科学、文献碑銘を扱う分野との連携の中で石窟造営の歴史的全体像を求める。本年度はとりわけアフガニスタンのバーミヤーンとパキスタのガンダーラ=タキシラに集中した。しかし研究がすべて完了したわけではない。後者は地上の寺院であるが、西インドの初期石窟とナガラハーラの石窟をガンダーラを介して地理的時間的に取り結ぶ中間にあり、きわめて重要だからである。バーミヤーン石窟はインドと中央アジアとをむすぶ交通路の中間にあって未だに年代が不明である。その問題の検討にはいる前段階として、今年度はこれまで撮影された構造壁画等の写真資料のCDデジタル化集成に着手。タキシラはガンダーラ仏教寺院のほとんど初期相を示す石積みによる寺院建築群跡。これらは1913年から1934年ごろまでの古い発掘で、報告にも不備がある。その予備報告と最終報告を精確に読み解き、従来の理解とは異なった諸相があきらかにされつつあり、石積みによる編年は見直すことになろう。発掘当時現場で撮影された写真資料を大英図書館東洋インド総督府資料部から検討に必要な分量約200枚を取り寄せ、研究を数歩前進させることができた。
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