研究概要 |
玄界灘の海底遺跡の探査として、今年度は玄界島沖北東4.5km地点の海域で、昭和11年(1936)に沈没した石炭運搬船「彦山丸」を中心に一辺が1800X1800mの探査区域を6区画(1A,1B,2A,2B,3A,3B)設定して、そのうち最重要区域2A,2B及び3Aを音波探査機のサイドスキャン・ソナー/サブボトム・プロファイラーを使用した。探査範囲内を精査して、海底面及び海底下の状況をDGPSで位置を測定しながら記録した。この探査範囲内には昭和30年前半に目撃されている「中世の交易船」と思われる木造船が「彦山丸」付近の海底下に埋没していることが想定されることから記録したデータをもとに、異常地点として判定した62箇所を明らかにし、一覧表にまとめた。62箇所の異常地点は国家座標(X・Y)、緯度・経度、形状等、「彦山丸」を基準にした位置(距離、真北角度、磁北角度、方向)で表記した。 62箇所の異常地点から過去の目撃情報に基づき、木造船と思われる地点を優先的に30箇所選んだ。それらの地点を重点的に水中テレビロボットを潜水させ、船上でリアルタイムでモニターに写し出し、映像で確認する作業を行った。これらの映像のなかには木造船の存在は確認されなかった。しかし、残りの異常反応地点32箇所のいずれかに木造船の存在が予想されることとなり、目標を絞りこむことが可能となった。 「海底遺跡の探査と確認調査」及び水中考古学に係わる基礎資料として、北海道江差町「開陽丸」海底遺跡の発掘調査や出土遺物の保存処理等の資料収集、ならびに、沖縄、長崎県鷹島、奄美大島等にて関係資料の収集を行った。これら収集した資料には玄界灘の海底で目撃されている木造船にあった碇石や陶磁器等に関連した資料も含まれている。
|