研究課題/領域番号 |
10410096
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研究機関 | 奈良県立橿原考古学研究所 |
研究代表者 |
中井 一夫 奈良県立橿原考古学研究所, 資料室, 総括研究員 (40250360)
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研究分担者 |
今津 節夫 奈良県立橿原考古学研究所, 資料室, 主任研究員 (50250379)
三船 温尚 高岡短期大学, 産業工芸学部, 助教授 (20181969)
横田 勝 高岡短期大学, 産業工芸学部, 教授 (10029225)
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キーワード | 伝世鏡 / 方格規矩四神鏡 / 内行花文鏡 / 画文帯神獣鏡 / 踏み返し鏡 |
研究概要 |
平成10〜12年度の研究では主に「伝世鏡」として取り扱われてきた銅鏡について、高精度デジタルマイクロスコープによる観察調査を中心におこなった。方格規矩四神鏡、内行花文鏡、加えて画文帯神獣鏡について伝世の根拠となる朦朧となる鏡背文様を持つものについて検討をおこなった。具体的には方格規矩四神鏡については、伝世鏡の代名詞にもなっている香川県鶴尾神社4号墳出土鏡、内行花文鏡については山口県国森古墳出土鏡、広島県中出勝負峠8号墳出土鏡、画文帯神獣鏡については、奈良県新山古墳出土鏡、奈良県伝ホケノ山古墳出土鏡について観察調査をおこなった。観察の結果から、これらの鏡背文様が朦朧とした部分については大部分が鋳肌であり、布や手による摩擦研磨によって磨かれた為にこのような状態になったのではないことが判明した。それではどうして文様が朦朧となったかというと、未だ決定的な証拠は得られていないが踏み返しによるものと想像できた。 大陸において同様の朦朧とした銅鏡が発見できるかどうか、陝西省洛陽市と山東省済南市で中国側研究員と意見交換を行ったが、洛陽市では相当する遺物を確認できなかったが、済南市では前漢鏡の一部に同様の鏡背文様の朦朧化が確認できた。 平成13年度には引き続き観察調査を続けて、踏み返し鏡の根拠を明確にすると共に、今年度までに製作した模造鏡をもとに手ずれ実験を行い、出土鏡との比較研究も行いたいと考えている。
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