研究課題/領域番号 |
10410101
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
大橋 洋一 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (20126014)
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研究分担者 |
富士川 義之 駒沢大学, 文学部, 教授 (20083264)
HUGHES George 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 客員教授
高橋 和久 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (10108102)
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キーワード | 英文学 / 英国近代文化 / 英国現代文学 / 英国現代文化 / 演劇史 / 劇場史 / シェイクスピア / 表象 |
研究概要 |
現有のコンピュータに「イギリス詩劇全データベース」「CD版アーデン・シェイクスピア」などのCD-ROMデータベースの読み込みをほぼ完了し、主要な劇作家のテクストから演劇そのものに言及する用例を拾い出す作業を続行した。ただ膨大なデータの解析に関しては、各研究者が最良と考える観点にもとづくことにし、また演劇概念の基本型の確定作業のなかで、当初の予想どおり、英国劇作家のウィリアム・シェイクスピアによって形成され、同時にシェイクスピアをめぐってその後の形成された演劇概念が鍵を握ることを確認した。演劇概念に多大の影響をあたえたシェイクスピア作品ならびに作品から想定される劇作家像が、死後徐々に変質し、劇作家が神格化されることになるが、この萌芽がすでに当時の全集版の肖像画にあることを新たに発見した。この発見の糸口となったのは当時の版本の他の肖像画と比較してもきわめて特異なシェイクスピアの肖像画の図像性であった。また演劇観の大きな変容は20世紀において発生したことも今回の研究の成果であった。それは演劇そのものの変容ではなく演劇概念が、20世紀の英国文化のみならず世界的な文化変動の中で変化し、演劇についての文化機能を再確認させたこと関係がある。具体的にいって、それは演劇のジェンダー変容要素の発見であった。なお今回は十分に検証できなかったが、英国ロマン派や英国小説における文学観の変容が演劇を刺激し、また演劇によってもたらされたというダイナミックな相互作用については、得られた資料をもとに今後も研究を続行する予定である。
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