研究課題/領域番号 |
10410103
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
中地 義和 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (50188942)
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研究分担者 |
月村 辰雄 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (50143342)
塩川 徹也 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (00109050)
田村 毅 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (90011379)
辻部 大介 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 助手 (30313183)
塚本 昌則 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 助教授 (90242081)
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キーワード | モダン / 学芸史 / レトリック教育 / 断章形式 / モラリスト文学 / 抒情詩 / 散文詩 / ボードレール |
研究概要 |
今年度は、フランス文学史上「今日的なもの」の価値付けが伝統的規範との葛藤を通じて新たな美意識や創作原理を生み出していく様態の研究が、研究分担者各自の専門に応じたトポスを対象に、いっそう具体的に展開された。 中世から十九世紀にいたる学芸史をレトリック教育の視点から検証する研究が、文学と哲学あるいは人文諸科学がいまだ未分化な状況において、教育が広義の「文芸」の革新をいかに主導したかを明らかにしつつある(月村)。 もう一つの通時的研究として、パスカルやラ・ロシュフーコーからヴァレリー、バルトにいたる断章形式の文学を流れをたどり、息の長いテクストに依拠する各時代の正統文学に対して、これがどのような批判性をもちえたかを探っている(塩川・塚本)。 時代を限定した研究としては、モンテスキューの教会批判に見られる宗教的両義性に啓蒙期の「モダン」の特質を探る研究(辻部)、ルネサンス期の抒情詩が近代詩成立の母体としていかに機能したかをめぐる研究(田村)、近代散文詩の発生と展開を「韻文詩」「詩的散文」「童話」など隣接ジャンルとの干渉の視点から跡付ける研究などが行われている(中地)。最後のものについては、その成果の一端を1999年5月パリ第八大学で開催されたシンポジウム「記憶と予兆」で発表した。また、詩の分野での研究を深める目的で、ジュネーヴ大学のジェニー教授、ナント大学のステンメッツ教授、元シカゴ大学教授で国際フランス研究学会のローラー会長の三名を、本研究の特別講師として招き、講演会を組織した。
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