研究課題/領域番号 |
10410103
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
中地 義和 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (50188942)
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研究分担者 |
月村 辰雄 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (50143342)
塩川 徹也 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (00109050)
田村 毅 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (90011379)
辻部 大介 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 助手 (30313183)
塚本 昌則 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 助教授 (90242081)
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キーワード | モダン / 学芸史 / レトリック教育 / 断章形式 / モラリスト文学 / 抒情詩 / 散文詩 / ボードレール |
研究概要 |
本研究の締め括りとなる平成12年度は、研究参加者がそれぞれの専門分野で積み重ねてきた成果をまとめるとともに、それらを本研究が拠って立つ通時的視野のなかに位置づけながら総括的展望を構築する作業が行われた。 伝統的なものと革新的なものとの葛藤のなかから、文学史を動かすような創造のエネルギーが生成するという観点からすれば、いわゆる「古典」の意味付けは不可欠な手続きである。ルネサンス期におけるギリシア・ローマの古典称揚、17世紀末の「新旧論争」、19世紀初頭のロマン主義による古典模倣批判、20世紀のカルチュラル・スタディーズが告発した「古典」形成のイデオロギー性など、文学史の節目にクローズアップされる古典との関わり方について、真実性と永遠性、内在的価値と時代性(制度性)、制作的価値と受容的価値など、多様な観点から包括的考察を行った(月村・塩川・田村・辻部)。 断章形式の文学が息の長い正統的文学に対していかなる批判性をもちえたかをめぐる考察が、17世紀のモラリスト、19世紀の何人かの詩人、ヴァレリー、バルトを対象に、宗教的、道徳的、美学的要請と作家個人の資質との絡みを見極めながら、さらに深められた。そのなかで、断章のインパクトの普遍性と時代性とが同時に浮かび上がった。(塩川・塚本・田村・中地) 「モデルニテ」の問題をフランス近代文学において最も意識的、多面的に展開したボードレールをめぐって、詩人、批評家、道徳家という三つの側面から集中的考察を行った。これに関しては、二名の専門家を研究協力者として招聘した(中地)。 以上の三点を軸に、三年間の成果を報告書冊子にまとめる予定である。
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