研究課題/領域番号 |
10410104
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
独語・独文学
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
井上 修一 筑波大学, 文芸・言語学系, 教授 (10017634)
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研究分担者 |
相澤 啓一 筑波大学, 文芸・言語学系, 助教授 (80175710)
上田 浩二 筑波大学, 文芸・言語学系, 教授 (30063796)
武井 隆道 筑波大学, 現代語・現代文化学系, 助教授 (10197254)
濱田 真 筑波大学, 現代語・現代文化学系, 助教授 (50250999)
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研究期間 (年度) |
1998 – 2001
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キーワード | アイデンティティ / トーマス・マン / 翻訳 / ヘルダー |
研究概要 |
帰属意識とは、多くの場合、歴史的に何らかの形で「創出」され、それが内在化される過程で発生するものであるが、それにもかかわらずあたかもそれが自然発生的・自明なものとして、歴史を越えた人種的・民族的・血縁的に予め所与のものででもあるかのように前提されることが少なくない。本研究ではナショナリズムに限らない形で帰属意識の構成性の問題を特に文学分野に向けて意識化することを試みた。すなわち、文学作品においても、さまざまな帰属意識が無意識のまま作品の前提をなし、あるいは無反省なまま作品世界の一部となっているケースを対象として分析したのである。具体的には、文学作品が各時代の自明のディスクールを独自の芸術言語によって地震計のように記録しているとの仮説に立ち、トーマス・マン、ホーフマンスタール、ヘルダー等個別の作家や思想家のテクスト等、さらには現代における言語や身体表現の問題をとりあげて、個々の作品やディスクールの中に潜む帰属意識に関する自明性の問題を分析することができた。本研究は、そうしたドイツ文学の歴史に現れた重要な問題圏のいくつかを「帰属意識」という視点から見直そうとするアプローチである。研究成果報告が予定よりも大幅に遅れて刊行されざるをえなかったことは大きな反省点の一つであるが、「帰属意識」という視点からドイツ文学の歴史を反省し直す作業が、ドイツ文学史を大局からふり返ろうとするとき極めて豊かな知的成果を与えてくれるものであることが確認された。
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