研究課題/領域番号 |
10410105
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 学習院大学 |
研究代表者 |
川口 洋 学習院大学, 文学部, 教授 (60080412)
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研究分担者 |
村田 経和 学習院大学, 文学部, 教授 (10080417)
宮下 茂 学習院大学, 文学部, 教授 (30080419)
新保 雅浩 学習院大学, 文学部, 教授 (20081094)
下宮 忠雄 学習院大学, 文学部, 教授 (90101592)
轡田 収 学習院大学, 文学部, 教授 (90051325)
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キーワード | 非母語者文学 / 「文化」と「文明」 / ナチズムと旧東独の言語使用 / 異文化接触 / 米語のドイツ語への影響 / 「外国人」で指示される対象 / 異文化理解教材の問題点-ことわざ- / 国民国家、国民文学の解体 |
研究概要 |
現在、そして歴史的にドイツの文化、社会、言語を多文化社会と異文化干渉の観点から考察しまとめた。 1) ドイツ語を母語とする外国人作家による文学、および外国語であるドイツ語による文学作品の受容とその解釈の問題を、シャミッソー文学賞の草創期の理念をたどりながら検証した。それによれば、外国語としてのドイツ語文学によって、ドイツ語やドイツの社会が他者の目から語られるという経験と共に、ドイツ語が美的にも新たな経験を得ることができるという積極的な期待が見出される。その中では「国民文学」としてのドイツ語文学も否定されている。しかし、その一方で、恩恵を受ける「ドイツ語」、また、外国人による文学を「寛大に」受け入れる、といった受け入れ側の確固たる立場、ある意味での傲慢さがないとは言えないことも指摘された。 2) ドイツ(語)における「文化」概念と、フランス(語)における「文明」概念の差異をナショナリズムの観点から、それぞれの歴史的に制限された諸条件等から検討した。 3) ナチズムにおける言語使用と旧東独のそれとを比較検討し、それらの体制において、「異質なもの」あるいは、「敵」として標傍された対象がどのように表現されているかを検討することで、共通点、相違点を洗い出した。 4) 異文化接触が文学史上、どのような修辞的な手段として文学的モチーフとなって表れているのかを、17世紀の文学や戦後の冷戦時代における詩を例に明らかにした。 5) 外国語、とくにアメリカ英語の影響を歴史的に、また、現在の情報通信分野において考察した。 6) 外国語としてのドイツ語の分野において教育目標として好んで挙げられている「異文化理解」という概念が、実際の教材においては非常に安易に表層的に扱われうる危険性や可能性を、ことわざ教材を例にして指摘した。ことわざがその場合、19世紀的な文献学的な扱われ方、あるいは、人文主義的な背景での文法訳読方式の授業における古典語講読における扱われ方をいまだにされていること、それは、コミュニケーション授業においても尾をひいている点を指摘した。
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