研究課題/領域番号 |
10410111
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
CRAIK E.M 京都大学, 文学研究科, 教授 (10293846)
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研究分担者 |
中畑 正志 京都大学, 文学研究科, 助教授 (60192671)
中務 哲郎 京都大学, 文学研究科, 教授 (50093282)
内山 勝利 京都大学, 文学研究科, 教授 (80098102)
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キーワード | 「Places in Man」 / 「Glands(腺)」 / 体液理論 / ガレノス / ギリシア人の感覚 / アリストテレス「魂について」 |
研究概要 |
クレイクは今年度は特に、腺および体液に関わる正常な、もしくは異常な働きを表す用語を、「人体の諸部分について」「腺」「関節、挫傷、接合」等の諸論文について分析した。phlegomone(inflamed tumour,炎症性腫瘍)という用語の複雑さ、muxa(鼻からの分泌物)とmuelos(髄)との関係、外的問題と内的原因の区別、等を検討し、さらに現代医学における診断例とも比較考察した。その結果、論文「人体の諸部分について」と「腺」は強い類似性を持つことが明らかになった。両篇とも無接続詞構文を多用し、一人称で教訓調で述べること、共に人体の本性についての概説に始まり、婦人科についての補論で終わること、「全集」中この2篇でしか用いられない単語が多数見出されること、などがその証拠となる。 内山はガレノス「自然の機能について」と「ヒポクラテス全集」の関係、および、エンペドクレスの新発見断片に見える生命観を考察した。中務はギリシア人の感覚について、特に視覚と聴覚について、古代哲学者におけるemissionist theory(流出説)とintromissionist theory(流入説)を再検討し、さらにこの両説が文学作品の中ではどのように現れるかを、単語・語法の面から検討し、その結果、聴覚における流出説は極めて稀であることを明らかにした。中畑は後期ギリシア哲学者における身体観を考察し、その最重要文献であるアリストテレス「魂について」の翻訳・注解を完成させた。
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