研究課題/領域番号 |
10420005
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研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
舟田 正之 立教大学, 法学部, 教授 (60062676)
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研究分担者 |
安西 文雄 立教大学, 法学部, 助教授 (90222356)
長谷部 泰男 東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 教授 (80126143)
江口 公典 上智大学, 法学部, 教授 (50135927)
橋本 博之 立教大学, 法学部, 教授 (80172873)
鈴木 秀美 広島大学, 法学部, 助教授 (50247475)
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キーワード | 放送局の免許 / 委託放送事業者 / 受託放送事業者 / 番組供給事業者 / 電波法 / マスメディア集中排除原則 / 基本的情報 / 公共放送 |
研究概要 |
本年度は、第一に、BSデジタル放送の開始を間近にひかえて、放送事業者、民放連及び郵政省の担当者から説明を受け、その産業的発展と制度上の問題についての認識を得た。第二に、メンバーのうち2名が研究報告を行い、それを基に議論をした。 これらの共同研究活動から多くの問題が明らかになったが、そのうち特に、通信・放送・情報の3分野にまたがるプレイヤー(事業者)が、放送法上、放送局の免許を受けた一般放送事業者、委託放送事業者・受託放送事業者、そして放送法上の位置づけのない番組供給事業者という区分をされており、この区別と近年の上記3分野の融合現象が整合性を喪失し、「ねじれ」あるいは「ゆがみ」とも称すべき事態になっていることが印象的であった。これは電波法による免許制度や、「マスメディア集中排除原則」の見直しの方向を示唆するものである。 また、放送番組の内容にかかわる点としては、上記のような通信・放送・情報にまたがる事業者の展開が進むにつれ、先進諸国において巨大な資金量をバックに優良又は人気のあるソフトを買い漁り、独占しようとする傾向が共通に顕著になっている。この傾向は、強化されつつあつ競争的経済的要因と、「放送が国民に最大限に普及」(放送法1条1号)、「あまねく日本全国において受信できる」(同法7条)等々と表現されているような基本的情報を平等かつ安価に提供するという制度目的との間に齟齬が生じる危険性を孕んでおり、その制度的な対応を新しく考え直さなければならないと考えられる。なお、これは主として民間放送事業者を念頭に置いたものであるが、NHKのような公共放送についてもその受信料のあり方という点で、同様の問題が現れているのである。
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