研究課題
今年度は、名目的には共同研究の2年目に相当するが、科学研究費に補欠採用され、新年度の実質的研究機関が3ヶ月に満たなかったため、本格的な共同研究を行う最初の年度となった。7月24日、10月23日、1月22日に研究会を開催し(場所はいずれも大阪大学、報告はそれぞれ中谷「福祉国家の形成・発展・変容およびドイツ社会民主党と社会国家」、野田「グローバル化、福祉国家の危機とドイツ社会民主党の針路」、安野「基本的綱領をめぐるドイツ社会民主党の党内政治」)、その間報告に向けての中間発表や、研究会での討論をふまえた事後報告を、グループウェアを通じて実施した。その結果、共同研究参加者の問題意識のすりあわせが相当程度進捗した。「福祉国家」というと、ややもすれば福祉政策の問題にとらわれがちになるが、本共同研究参加者は、より幅広くこれを「現代国家」と読み替え、高度成長および冷戦が終焉して以降のグローバル化のなかでの国家の行動能力の変容をヨーロッパの文脈で考究することを共通の課題とすることとした。もとより、福祉国家そのものを正面から議論することが排除されるわけではないが、たとえば内政と外交の境界の消失・減退、国際組織や非国家・政府組織のグローバル化への対応、市民運動や自助運動、地方自治の問題なども、視野に入りうる点が確認された。
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