研究概要 |
本研究は, New Public Management (NPM)を, 単に政府における新しいマネジメントとしてとらえるのではなく, 政府と市場の共生を目指すマネジメントとして位置づけ, 行政, NPO, NGO, 産業, 市民等の社会構成主体が相互依存のもとで競争し, 協調する役割相乗型社会を学際的に研究することを目的としている。 平成10年度は, 各研究分担者がそれぞれ共生, 役割相乗効果型社会, NPMの方法論の研究を行うと同時に, 自治体の実務担当者へ聴取り調査から日本におけるパブリックマネジメントの実態に関する情報を収集し, これを受けて, ケンブリッジ大学, コペンハーゲン大学, ハーバード大学を訪問して専門研究者から福祉と経済に関する最新の研究動向の情報を得ると同時に, 意見交換をした。以上を踏まえて, 国内シンポジウムを開催し, 政府と市場の共生に対する問題点を抽出するとともに本研究で目指すNPMの方向性を探求した。 平成11年度は, 平成10年度の成果を踏まえさらにそれを発展させるべく, 同時に, 我々の研究の動向と成果を世界に向けて発信させるべく, ボンで国際シンポジウムを開催することを中心に活動を行った。このシンポジウムでは, Community Well-beingをひとつのキーワードとして政府と市場の共生に関して本研究研究分担者を含む日・米・英・独・デンマークの10名の専門研究者が研究発表をし, 本研究研究分担者がそれぞれの発表に対するコメントを述べ, 一般参加者を含む約80名による参加者全員討論を行い, 我々の知見に新たな発見を加えた。 以上から, 役割相乗効果型社会に対するキーコンセプトを得ることができ, 政府と市場の共生のメカニズム, 共生のあるべき姿, 共生の達成方法に対する新たないくつかの知見を得ることができた。これらの知見は, ヨーロッパにおいて盛んなNPMに関するそれとはやや異なる, いわば, 日本型NPMに関する知見である。
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