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1998 年度 実績報告書

少子化問題の経済理論的・計量的研究

研究課題

研究課題/領域番号 10430009
研究種目

基盤研究(B)

研究機関一橋大学

研究代表者

高山 憲之  一橋大学, 経済研究所, 教授 (30102940)

研究分担者 吉田 浩  東北大学, 経済学部, 助教授 (60275823)
小川 浩  関東学園大学, 経済学部, 助教授 (00245135)
麻生 良文  日本大学, 経済学部, 助教授 (70212511)
宇野 富美子  東洋英和女学院大学, 社会科学部, 助教授 (20017669)
キーワード出生率 / 子育ての機会費用 / 男女の役割分担 / 一人あたり国民所得 / 貯蓄率 / 供給超過経済 / 労働慣行 / 仕事と家庭の両立
研究概要

本年度のおける研究実績の概要は次のとおり。
1. 日本における出生率低下の主要原因は次の3つである。(1)出産・子育てに伴う機会費用の上昇(男女間の賃金格差縮小、パラサイト・シングルの増加)、(2)男女の固定的な役割分担、(3)子供を産まず(つくらず)育てない方がトクでラクな社会システムの放置。
2. 人口減少で一人あたり国民所得は低下するおそれがある。そのおそれを未然に排除するためには資本蓄積の継続と生産性の向上が欠かせない。
3. 人口減少により貯蓄率は一般に低下する。それは資本蓄積を制約することになるだろう。
4. 出生率の低下によって子供の数が減るだけでなく子供の質も低下するおそれがある。競争メカニズムの作用が弱くなり、人間の潜在的可能性を極限まで追求するインセンティブが薄らぐからである。その結果、日本人の生産性上昇は今後、容易でなくなるおそれが強い。
5. 人口減少社会は供給超過経済である。これは人口高齢化社会(需要超過経済)と性格が正反対であることを意味している。したがって将来の基本政策も180度異なることになる。「少子高齢化社会」というような状況認識では将来への的確な布石を打てないおそれが強い。むしろ「高齢化」という用語をはずして、「少子社会」「人口減少社会」への長期戦略を今後、本格的に策定する必要がある。
6. 現在、少子化対策として実質的に機能しているのは(1)保育園制度、(2)育児休業制度、の2つである。将来、これに加えて第3の柱を打ちたてる必要性が大きい。第3の柱として有力なのは、従来の労働慣行を改めること、すなわち長時間社会拘束を改めること、実績による成績評価、上司選抜制度の改善等である。それらによって仕事と家庭の両立が可能となり、出生率も下げどまるだろう。

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] 高山 憲之: "年金をめぐる公私の役割分担(仮題)" 経済研究. 50/3. (1999)

  • [文献書誌] 高山 憲之: "誌上ディベート : 公的年金問題(仮題)" ビジネス レビュー. 47/1. (1999)

  • [文献書誌] TAKAYAMA,Noriyuki: "THE MORNING AFTER IN JAPAN" 丸善, 282 (1998)

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公開日: 1999-12-11   更新日: 2016-04-21  

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