研究課題/領域番号 |
10430009
|
研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
高山 憲之 一橋大学, 経済研究所, 教授 (30102940)
|
研究分担者 |
小川 浩 関東学園大学, 経済学部, 助教授 (00245135)
麻生 良文 一橋大学, 経済研究所, 助教授 (70212511)
宇野 富美子 東洋英和女学院大学, 社会科学部, 助教授 (20017669)
吉田 浩 東北大学, 経済学部, 助教授 (60275823)
|
キーワード | 少子化 / 子供の数 / 子供の質 / パラサイト シングル / ベッカー モデル / 外国人労働 / 男女の固定的役割分担 / インセンティブ システム |
研究概要 |
本年度における研究実績の概要は次のとおりである。 1.少子化は子供の数(量)の問題であると従来、考えられてきたが、実は子供の質の問題でもある。数量の減少は競争圧力を低下させ、質の低下を招きやすい。 2.日本の少子化において欧米との違いがきわだっているのは、いわゆるパラサイト・シングルの存在である。従来、その研究は社会学的アプローチによるものだけだったが、本研究では経済学の観点からマイクロ・データ解析を試みた。その結果、親の所得と夫の所得の比が女性の結婚確率に多大な影響を与えていることか判明した。これは欧米流の家族間に基づくモデル分析(ベッカー・モデル)とは著しく異なる結論でもある。 3.少子化対策として高齢者や女性の就労促進が盛んに推奨されている。ただし高齢者や女性の就労が促進されても21世紀における日本人全体の就労者数に大きな影響は生じない。日本人就労者は21世紀を通じて恒常的に減りつづける。その流れは、外国人労働者を本格的に受けいれないかきり変わらない。 4.出生率の低下に歯止めをかけるためには「男の働き方を変える」必要がある。日本人男性の働き方は異常であり、家庭を顧みない、家庭を犠牲にすることもいとわない働き方は、男女の役剖分担を固定化させ、仕事と家庭の両立をはばんでいる。 5.男の働き方を変えるためには、仕事におけるインセンティブ・システムを改める必要がある。勤務時間数ではなく業績をベースにした賃金システムヘの切りかえ、上司選抜システムの変更、時間外手当の割増しなど、従来の労働慣行や処遇システムを根本から見直さざるをえないだろう。
|