研究課題/領域番号 |
10430013
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研究機関 | 名城大学 |
研究代表者 |
有田 辰男 名城大学, 商学部, 教授 (50039799)
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研究分担者 |
森川 章 名城大学, 商学部, 教授 (20140022)
瀬川 新一 名城大学, 商学部, 助教授 (40226626)
渋井 康弘 名城大学, 商学部, 助教授 (00222034)
山田 浩貴 名城大学, 商学部, 助教授 (60220399)
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キーワード | 産業集積 / ネットワーク / 下請 / 横請 / 異業種交流 / 仲間 / ピラミッド構造 / フレキシブル・スペシャライゼーション |
研究概要 |
平成12年度は、以下の3つの分野で、調査研究を行った。 (1)愛知県名古屋市南部地域で試みられている異業種交流活動(エントロピー豊明)と、西三河地域で試みられている「仲間」取引の普及活動(横請ネットワーク)の取材、および検討。いずれの活動も、新たな企業間ネットワークを構築する試みで、愛知県の産業集積に新たな性格を付与する可能性を持っていることが確認された。 (2)長野県埴科郡坂城町および上田市の産業集積の調査。これは愛知県の産業集積との比較を目的とした調査である。世界的に注目されている坂城ではあるが、その産業集積はそこで完結しているわけではなく、上田市をはじめとする近隣の地域と一体化して成立していることが確認された。また坂城内には、さほど「仲間」取引は見られず、中堅企業を頂点とする下請けの(ミニ)ピラミッド構造が存在しているようである。その意味では、この地域をいわゆる「フレキシブル・スペシャライゼーション」の典型とする通説は妥当性を欠くように思われた。 (3)名古屋市南部地域産業集積の形成過程の歴史的検討。この地域の産業集積は、(大阪市からの転入企業によって形成された)東大阪市のような「転入形成型」のものではなく、むしろ都市部の中心地域から(騒音、地価高騰などの問題回避のために)多くの企業が転出していった後、残留した諸企業によって形成された「残留形成型」のものである。その意味では当地域は、東京大田区と類似した形成史を辿ってきたと言えるのではないか。まだ仮説の域を出ないが、次年度の調査でこの仮説を検証して行く予定である。
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