本研究は、都市における商業形態の変容に関して、消費者意識構造分析及びGIS(地理情報システム:Geograpbical Information System)による消費者購買行動分析の2つの側面から分析を行った。また特に、地域計画的な分析を行うために、商業形態の分布だけでなく商業集積としての地域的な相互比較を中心にして分析を行った。本研究により、以下のような成果を得ることができた。 1.消費者意識構造分析 近年における商業環境の変化にともない、商業形態に対する消費者の意識や購買行動も大きく変化している。また、それらを把握することは非常に困難となっている。そこで、本研究では様々な手法を用いて分析を試行してきた。最終的には、本研究における意識構造分析において最も有効な手法であったAHP(Analytic Hierarchy Process:階層分析法)により分析を行った。また分析を行うにあたっては、住民(被験者)に対して効率的かつ有効な分析を行うため、AHPの改良を行った意味論的評価法、相対位置評価法を新たに提案し、その有効性の検証も行った。本研究の分析により、北海道と埼玉県における意識構造の相違性を明らかにすることができた。 2.GISによる消費者購買行動分析 実際の商業施設の立地(分布)とそれら施設に対する消費者の購買行動ODをGISによって地図上に可視化を行い、面的に分析を行った。具体的には、地理的データベース、商業施設データベース、購買行動のデータベースを重ねた形でのデータベースを使用し、品目(食料品・日用雑貨・高級衣料品・電化製品・書籍・贈答品)別に購買行動のODの相違性について分析を行った。この分析により、品目別の購買行動の特性や相違性を明らかにすることができた。
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