研究課題/領域番号 |
10440005
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
金銅 誠之 名古屋大学, 大学院・多元数理科学研究科, 助教授 (50186847)
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研究分担者 |
谷川 好男 名古屋大学, 大学院・多元数理科学研究科, 助教授 (50109261)
浪川 幸彦 名古屋大学, 大学院・多元数理科学研究科, 教授 (20022676)
向井 茂 名古屋大学, 大学院・多元数理科学研究科, 教授 (80115641)
佐野 武 名古屋大学, 大学院・多元数理科学研究科, 助手 (90252220)
吉川 謙一 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 助教授 (20242810)
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キーワード | K3曲線 / 自己同型群 / モジュライ空間 / 小平次元 / 保型形式 / 曲線 / 超球面 |
研究概要 |
1.偏極K3曲面のモジュライ空間はIV型有界対称領域の算術的分群による商空間と同一視できる。偏極次数を変えたとき、このモジュライ空間の双有理構造がどうなるかを調べることは、基本的問題であり、アーベル曲面の場合はかなり研究されている。K3曲面の場合、偏極次数が小さいときは単有理であることが知られていたが、どの程度偏極次数が大きければ単有理でなくなるかは未解決であった。本研究において、最近R.Borcherdsが構成したIV型有界対称領域上の保型形式を用いてK3曲面のモジュライ空間上の重さが小さい尖点形式の構成を行なった。これを適応してK3曲面のモジュライ空間の基本的不変量であるか小平次元の計算を行ない、単有理でない偏極次数の具体例を見い出した。 2.種数3の曲線(コンパクトリーマン面)のモジュライ空間は、ヤコビアン多様体を考えることで、ジーゲル上半平面の算術的部分群による商空間とみなせることは古典的に知られていた。本研究ではK3曲面の自己同型、周期の理論を適応して、このモジュライ空間がジーゲル上半平面とは全く異なる超球面の離散群による商空間と双有理同値であることを示した。種数3の超楕円的でない曲線の標準モデルは4次の射影平面曲線であるが、この4次曲線で分岐する射影平面の4次のガロア被覆が位数4の自己同型を持つK3曲面となる点が、証明のポイントである。この方法は他のいくつかの種類の小さい曲線のモジュライ空間にも適応でき、Borcherdsによって得られた保型形式を用いた、これらモジュライ空間の新しい研究に道を開くものと考えられる。
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