研究概要 |
2次元球面上に指定したn+1点がら出発するコードのラックについての構造定理が完成した.これは球面ブレイド群の共役公式として書くことができる.また,随伴群の中心の構造が決定できた.これらの結果については鎌田-松本による共著論文が完成している. 上記の成果とレフシェツ・ファイバー空間のモノドロミーの研究との関連がかなり明確になった.すなわち,超楕円的なレフシェツ・ファイバー空間であって,その消失サイクルが全て一般ファイバーの非分離的な単純閉曲線であるようなものを考えると、そのモノドロミーは2次元球面上のn+1点から出発するコードのラックX_<n+1>(S^2)に入っているものと考えられる.そして,X_<n+1>(S^2)に付随する随伴群の一歩手前の半群を考えるという新しいアイデアを得た.この半群の中心の元は,上の条件を満たす球面上のレフシェツ・ファイバー空間の同型類と1対1に対応することがわかる.したがって,次の目標は,この半群の中心の構造の決定である.我々の立場では,約20年前にコロンビア大学に提出されたChakirisの博士論文は複素解析的なカテゴリーで上記の半群の中心の生成元を決定したものと解釈できる.我々の観点とChakirisの結果の総合ができれば,C^∞級のレフシェツ・ファイバー空間は自然に複素解析的な構造を持つことが証明され,その存在を問うSiebert-Tianの予想が肯定的に解けることになる. 本科研費により,「低次元トポロジーとラック」および「低次元トポロジーとラック(II)」という研究集会を,平成10年9月21日22日および平成11年10月21日-23日に開催した.会場はどちらも東京大学数理科学研究科てある.いずれも50名以上の参加者を得て盛会であった.
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