研究分担者 |
大槻 知忠 東京工業大学, 大学院・情報理工学研究科, 助教授 (50223871)
山口 孝男 九州大学, 大学院・数理学研究科, 教授 (00182444)
相馬 輝彦 東京電機大学, 理工学部, 教授 (50154688)
森田 茂之 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 教授 (70011674)
吉田 朋好 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (60055324)
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研究概要 |
7月にワークショップを開催し,錐多様体の変形と3次元多様体のトポロジーに関するレビューと先端研究発表を行い,現在の課題をまとめた. レビューではこれまでの成果をもとに,山口らのリーマン多様体の崩壊理論と平行して,かつてThurstonおよび吉田が試みた3次元双曲錐多様体の変形のGromov-Hausdorff収束による崩壊現象の解析方法を,かなり詳細に整備し,理論の基礎に据えた. 発表された先端研究の多くはデーン手術というキーワードで結びついた.とくに作間が穴空きトーラス群について,山下が重み付き配置空間について,また数人の研究協力者が様々な設定で,双曲錐構造の変形の限界(すなわち崩壊現象)を扱い,変形理論の全体像を推し量る材料を提供した.一方安定状況である変形道が錐角で決まるという剛体性については,すでに得られているHodgson-Kerckhoffの局所剛体性と代表者の大域剛体性の角度条件の妥当性が複数の研究で扱われ,錐角2π以上における非剛体現象を表す例が挙げられるなど,事情の複雑さを再考させられることになった. 錐構造の変形と3次元多様体のトポロジーを結びつけるこれらの研究は,特異集合の近傍であるバナナ領域を解析することにより得られるという共通点があった.手法は多岐にわたったが,解析的および幾何的な手法をより充実させ次への展開を図ることが大きな課題として残った. また12月には計算機支援の現状を認識するため関連研究者に研究協力を求め研究集会を開催し,グラフィックスの有用性を確認した.とくに研究協力者和田昌昭(奈良女子大学)による穴空きトーラス群の双曲構造可視化プログラムは,本研究には不可欠なツールであり開発の継続を要請した.
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