研究概要 |
昨年度の研究により,4次元閉リーマン多様体が断面曲率【forward curved arrow】-1,直径【greater than or similar】の下に崩壊するとき、多様体の位相を極限空間のアレクサンドロフ空間の幾何学を用いて記述した.但し,証明において細部の詰めなど,論文を完成させることが今年度以降の課題であった. 今年度得られた具体的な結果は次の通り. ・上記崩壊定理の証明に誤りが無い事が確かめられた.実際,4次元非コンパクト非負曲率アレクサンドロフ空間に対するソウル定理の証明において,上記結果に抵触しないケースがまだ証明が完了していないが,その他の部分については,論文の第一稿はほぼ出来ている.韓国ポハン市への出張は論文を書き進めるのに大いに役立った.来年度,論文を出来るだけ早い時期に完成させることが急務となった. ・境界が非連結な完備非負曲率アレクサンドロフ空間に対する分解定理の証明に成功した.この結果特に,3次元境界つき完備非負曲率アレクサンドロフ空間の距離的分類が得られ,上記4次元多様体の崩壊定理をよりスマートな形で証明することが可能となった. ・頂点数が最大のコンパクト非負曲率アレクサンドロフ空間の距離的分類が得られた.これは今年度のドイツ・フランスへの海外出張の際にヒントを得たものであり,最終結果に達したのは,韓国ソウル市への出張が直接的な動機となった.来年度中に論文を完成する予定である.
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