研究概要 |
12年度の研究により,断面曲率が一様に下に有界で,直径が一様に上に有界な4次元閉リーマン多様体が崩壊するとき、多様体の位相を,極限空間のアレクサンドロフ空間の幾何学を用いて記述することに成功した.論文プレプリントは100ページを越えるが,残されている編集作業を終了し,学術雑誌に早急に投稿したい. 今年度得られた具体的な結果は次の通り. ・上記崩壊定理の証明の細部についても誤りが無い事が確かめられた.昨年度までの研究で,一部分が別解法により避けられていた4次元非コンパクト非負曲率アレクサンドロフ空間に対するソウル定理の証明も全て終了した. ・3次元の完備非負曲率アレクサンドロフ空間に崩壊する点付き4次元多様体の位相の分類を,4次元多様体上のS^1-作用の分類を用いて遂行した.これにより,極限が2次元の場合の上記崩壊定理の証明が,昨年度までのものと較べて明瞭になった.2次元の完備非負曲率アレクサンドロフ空間に崩壊する点付き4次元多様体の位相の分類を早急にまとめ,極限が1次元閉区間のの場合の崩壊定理の証明も明確なものとしたい. ・3個または4個の複素射影平面のやS^2×S^2の連結和が閉区間に崩壊可能か否かが,今後の崩壊計量の構成の際に重要な問題となることが分かった.これについては11月の米国出張が大変有益だった.
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