研究概要 |
本研究では,ユークリッド空間の極小曲面に関するワイエルストラス型表現公式とその一般化を考察した。まず,一般に4次元以上のユークリッド空間の極小曲面に関する良く知られたワイエルストラスの表現公式の一般化として,ある種の非コンパクト型対称空間の正則ガウス写像をもつ曲面という概念を導入し,そのようなクラスの曲面に対して,ユークリッド空間の極小曲面との間の,一般化されたローソン対応が成り立ち,ワイエルストラス型表現公式が存在することを示した。さらに,その公式の応用として,曲面の全曲率に関する大域的な結果を得た。以上の結果は,特別な場合として,3次元双曲型空間の平均曲率1の曲面の理論を含む。これについては,ワイエルストラス型表現公式がすでに知られており,研究代表者らにより,全曲率に関するいくつかの事実が知られている。まず,絶対全曲率については,一般にコーン・フォッセンの不等式が成り立つが,その等号は成立しない。また,双対絶対全曲率と代表者たちが名付けた量は,コーン・フォッセンより強い,オッサーマン型の不等式をみたすことをすでに示したが,今年度は,さらに,双曲型空間の平均曲率1をもつ完備な曲面で,小さい全曲率をもつものの分類を行った。とくに,絶対全曲率・双対絶対全曲率のいずれかが4πより小さい場合の分類を完全に与え,8πより小さい場合に部分的な分類を得た。この分類の仮定で,曲面が特殊な位相型をもっている場合に,絶対全曲率がコーン・フォッセンより強い不等式をみたすことを示した。また,高次元のユークリッド空間の完備極小曲面に対して,その全曲率がみたすオッサーマン型の不等式の等号条件を決定した。これらの研究成果は,現在投稿中である。
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