研究分担者 |
猪狩 惺 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (50004289)
藤家 雪朗 東北大学, 大学院・理学研究科, 講師 (00238536)
高木 泉 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (40154744)
堀畑 和弘 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (10229239)
長澤 壮之 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (70202223)
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研究概要 |
C^∞-級の係数をもつ2階双曲型偏微分方程式の基本解の強空隙の研究,および幾何学的関連分野の学習を行った.この分野は幾何学の理論を取り入れたP.Guntherおよびそのグループの研究によって大きく進展した.今後の発展にとっては,強空隙をもつような作用素を組織的に構成する手法を見出すことが必要である.研究代表者は,基本解の理論の基礎となっている正規座標系について,その実解析的研究から始めた. nは2以上の偶数または奇数,γ=(γ_<jk>)^n_<j,K=1>はn次実対称正則行列であるとする.R^nのデカルト座標系x=(x^1,・・・,x^n)をとる.原点の近傍でC^∞級の実数値函数を要素とするn次正方行列函数A(x)=(a_r^s(x))^n_<r,s=1>がベクトル空間Vに属するとは,2つの恒等式a_r^b(x)γ_<bs>=a_s^b(x)γ_<br>およびx^ra_r^s(x)=0をみたすことと定義する.すると,xを正規座標系にもちg_<jk>(0)=γ_<jk>をみたす原点の近傍の擬Riemann計量g_<jk>(x)dx^jdx^kとVの元とが1対1に対応する.これは退化した偏微分方程式に対する理論を用いて得られた定理である.すなわち,Y=x^j∂/(∂x^j)として,jacobi場,Levi-Civita接続,および曲率テンソルの成分用いて3つのn次正方行列函数S(x),N(x),R(x)を定義すると,3つの偏微分方程式YS=-SN,YN+N=N^2+R,YYS+YS=-SRが得られる.x=0ではSは単位行列,NとRはゼロである.S,N,Rの何れか1つを与えると他の2つは上の偏微分方程式を解けば一意的に定まり,とくにS=(σ_j^Bが定まる.すると等式g_<jk>=σ_j^AγAB^σ_k^Bによって計量テンソルg_<jk>が定まる.NとRはVに属するので,Vの1つの元から1つの計量が定まり,逆も成り立つわけである.
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