研究課題/領域番号 |
10440037
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
片岡 清臣 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 教授 (60107688)
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研究分担者 |
山本 昌宏 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 助教授 (50182647)
堤 誉志雄 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 助教授 (10180027)
谷島 賢二 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 教授 (80011758)
俣野 博 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 教授 (40126165)
大島 利雄 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 教授 (50011721)
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キーワード | 佐藤超関数 / 超局所解析 / マイクロ関数 / 偏微分方程式 / 擬微分作用素 / 正則関数 / コロンボ超関数 / FBI変換 |
研究概要 |
佐藤の超関数論における偏微分方程式系の超局所解析では柏原-Schapiraらによる層のマイクロ台の理論が強力な道具となっている。しかし従来同種の問題では偏微分作用素を自然に拡張した擬微分作用素までを考慮し、擬微分方程式系の超局所解までを扱うのが通例であった。これに対し正則関数解を議論の始点とする層のマイクロ台の理論では、擬微分作用素が正則関数には直接作用しないことから同様の扱いは不町能である。柏原-Schapiraらはこのような事情を考慮し層とマイクロ台の理論をより一般化・抽象化した、いわゆるInd Sheavesの理論を建設し擬微分方程式系の解析に応用しようとしている。これに対し片岡らのグループはこのように抽象化しすぎたきらいのある手法を避け、より初等的で具体的対応のつきやすい、Martincauのくさびの刃型定理で用いられている、正則関数の形式的局所有限和表現、を理論の中心に据え、擬微分方程式系の正則関数解に対するマイクロ台の理論を建設しつつある。実際、最近のいわゆるFBI変換の理論など強力な解析的道具だてを使うことにより佐藤超関数やマイクロ関数の通常の理論については層のコホモロジー論を全く使わず、上記の初等的表現法のみにより細部の証明まで含めて再構成できた。また擬微分作用素の正則関数への作用についてもBony-Schapiraによるマイクロ微分作用素の場合のアイデアを拡張・一般化して具体表現を得ることができているが多価性など新しい困難もある。また,前記の問題とも関係が深いが超局所解析においては特異な関数や核関数の表現として通常の擬微分作用素では足りず、それらの一種の境界値を使って表現する事が適切であることが多い。片岡らのグループはそのような作用素の、特に形式シンボルでの表現を研究し境界値作用索が意味をもつための一種の必要十分条件を得た。またこれは実際に退化した方程式の解の構造研究にも応用された。
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