研究分担者 |
小林 亮 北海道大学, 電子科学研究所, 助教授 (60153657)
西浦 康政 北海道大学, 電子科学研究所, 教授 (00131277)
辻井 正人 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (20251598)
行木 孝夫 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助手 (40271712)
松本 健司 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (80183953)
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研究概要 |
非平衡神経回路網で発見したカオス的遍歴現象から得られた一次元写像表現を調べるとミルナーアトラクターの存在が確認された。そこでカオス的遍歴の一つの機構として,多数のミルナーアトラクターの相互作用によるミルナーアトラクターの弱崩壊後のそれらの間の動的遷移という考えが得られた。そこでミルナーアトラクターを持つ低次元カオス的力学系の結合系においてカオス的遍歴現象が認められるか否かを計算機実験により調べた。相互作用の導入の仕方を工夫することで,カオス的遍歴現象が,再現された。各ミルナーアトラクター近傍のベクトル場の様子を描くことでヘテロクリニック軌道,ホモクリニック軌道の存在が確認された。また崩壊したミルナーアトラクター近傍への軌道の滞在確率分布は,特異性を示すことが明らかになった。反応拡散系においても同種の現象が発見された。これは,サドル・ノード分岐が多重に生成されるときの一般的な現象であることも分った。サドル・ノード分岐によるヘテロクリニック軌道の生成がその機構であると考えられる。部分空間の間の遷移によって,カオス的遍歴現象を説明する数学モデルも提案された。このモデルもヘテロクリニック接触,ホモクリニック接触をその機構としているが,遷移は必ずしもカオス的ではない。出口集合と入口集合をつなぐ軌道群はおとなしいものだと仮定されているがカオス的遍歴を説明するためには,ストレンジアトラクターによってそれら2種の集合が連結されるかどうかを明確にする必要がある。次年度の課題である。
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