研究課題/領域番号 |
10440057
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
薩摩 順吉 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 教授 (70093242)
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研究分担者 |
矢野 公一 青山学院大学, 理工学部, 教授 (60114691)
岡本 和夫 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 教授 (40011720)
時弘 哲治 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 教授 (10163966)
太田 泰広 広島大学, 工学部, 助手 (10213745)
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キーワード | ソリトン / 可積分系 / 差分方程式 / パンルベ方程式 / 超離散化 / 戸田方程式 / 特異性の閉じ込め |
研究概要 |
本研究は「可積分な非線形差分方程式を特徴づける特異性の閉じ込めの構造を明らかにするとともに、その概念を完全離散系に拡張すること、およびその中で離散可積分系のもつ代数的・幾何的構造を解明すること」を目的とし、それに関して本年度は以下の研究成果を得た。 1.フェルミオン代数の手法を用いて構成した非自律離散可積分方程式について、その解の構造を詳しく調べるとともに、超離散極限として得られるセルオートマトン系の解の挙動について議論した。昨年度の研究で得られたII型の離散バンルベ方程式およびIII型のq離散パンルベ方程式の解に関する知見との関連を調べるのが今後の重要な研究課題である。 2.昨年度の研究で得られたN成分KP方程式系と離散幾何との関連についての結果を発展させ、KP方程式の解がどのような構造をもつかを具体的な例を挙げて考察した。今後そうした例を蓄積することにより、離散可積分系の幾何学的理解を深めることがやはり重要な課題である。 3.応用上重要と考えられる非線形微積分方程式を微差分方程式として捉えることにより、その可積分構造を考察した。またやはり応用上重要な結合型非線形波動方程式について、その離散アナログを構成し、解の構造について検討を加えた。これらの結果は数値計算など実用的な用途にも役立つものと考えられる。 4.戸田分子方程式の超離散化によって得られるセルオートマトン系の代数的性質について考察を加えた。とくに差分方程式とセルオートマトン系のもつ対称性について詳しく調べ、両者の相互関係を明らかにした。この結果は離散可積分系の代数構造理解に貢献すると期待している。
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