研究課題/領域番号 |
10440065
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研究機関 | 国立天文台 |
研究代表者 |
笹尾 哲夫 国立天文台, 地球回転研究系, 教授 (20000177)
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研究分担者 |
奥平 敦也 鹿児島経済大学, 社会学部, 講師 (70289651)
真鍋 盛二 国立天文台, 地球回転研究系, 助教授 (30000178)
面高 俊宏 鹿児島大学, 理学部, 教授 (50129285)
三好 真 国立天文台, 地球回転研究系, 助手 (50270450)
亀谷 収 国立天文台, 水沢観測センター, 助手 (70202025)
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キーワード | 高精度天体位置計測 / 相対VLBI / 大気位相補償 / 天体メーザー源 / 銀河系回転曲線 / ダークマター / VERA計画 / 参照電波源 |
研究概要 |
本研究は、国立天文台のVERA計画(天文広域精測望遠鏡:本年度の第二次補正予算で3局分の建設費が認められた)の準備研究に一環として、米国国立電波天文台のVLBAを用いて相対VLBIの観測実験を進めている。1998年7月8日と8月7日に、強い水メーザー源W3(OH)と連続波源0236+610(角距離1.73度)及び比較的弱い水メーザー源IRAS21008+4700と連続波源2100+468(角距離0.18度)の2つの電波源対を観測した。しかし、VLBA相関局の手違いによりW3(OH)の相関処理に問題があったことが判明し、1999年11月17日と12月16日にW3(OH)と0241+622(角距離2.17度)の電波源対で再観測を行なった。研究代表者を指導教官とする総合研究大学院大学院生峰須賀一也が中心になって行なった解析の結果、ふたつの電波源対のいづれでもフリンジ位相差が検出され、相対VLBI観測の成功が確認された。また、銀河系内の星生成領域であるIRAS21008+4700の位置が、1ヶ月の間に銀河系外連続波源2100+468に対して移動していることが明らかになり、移動の量と方向が銀河回転による固有運動の予想値と良く合致していることがわかった。およそ2万光年の彼方にあると推定されるIRAS21008+4700の固有運動をわずか1ヶ月間で検出できたのは、驚異的なことである。より近い(約7000光年)距離にあるW3(OH)の多数のメーザースポットについても、メーザー源の内部運動と銀河回転等の系統運動が重なった固有運動が検出されている。これにより、VERA計画の根幹である相対VLBIの有効性を実際の観測を通じて確認することができた。ひきつづき解析を進めるとともに、銀河系回転曲線測定に向けてVLBAと国内VLBI観測網に複数の観測提案を提出している。 以上のほか、銀河面付近の参照電波源候補の探査観測で50個を超えるVLBI電波源を新たに発見したことをはじめ(論文投稿中)、「研究発表」に示すような関連研究を進めた。
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