研究概要 |
(1)旧東大原子核研究所の電子シンクロトロンで行われたC,Al,Cu(γ,η)反応実験のデータ解析が進行し、反応断面積のエネルギー依存性が得られた。いずれの反応においても、反応断面積は900MeV付近にピークを持つ幅広い共鳴状態の存在を示し、核内でのS11(1535)状態の生成と崩壊が初めて観測された。 (2)QMD模型計算が実行され、実験データと詳細に比較された。原子核中でのS11共鳴は、共鳴幅が真空中より大きくなっている可能性が示された。しかしながら、より明確な結論を得るためには、精度を上げた実験が必要であると判明した。 (3)東北大学原子核理学研究施設のSTBリングからの標識付GeVγ線発生装置(STB Tagger)が完成した。 (4)200本以上のCsI結晶シンチレータからなる多重CsI検出器システム(SCISSORS)を設計し、建設した。 (5)STB Taggerから得られる0.6〜1.1GeVの標識化γ線を用いて、原子核を標的にした(γ,η)反応を測定し、これまでよりも遥かに統計精度のよいデータが取得された。 (6)素過程H(γ,η)反応を測定するために、固体水素標的の開発を行い、30×30×40(mm^3)の大きさの固体水素を作ることに成功した。
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