研究課題
この研究の最も重要なポイントは(1)所定の性能を持つレーザー光標的を実現し、(2)システムとして加速器に組込む事、にある。(1)「レーザー光標的の製作」我々はビームウエストw_0=12-15μm、フィネスF=321を持つ光共振器を開発する事に成功した。この性能は当初の目標を十分達成していると判断し、製作した光標的ATF電子ビーム内に組み込み、実際のエミタンスを実測する事にした。(2)「ATF電子ビーム・エミタンス測定」組み込まれたレーザー光標的はダンピングリングの直線部分にあり、その下流12.8mのところに純CsI製検出器を配置した。まず、散乱光のエネルギーに対応してコンプトン運動学から予想されるエネルギー帯(主として15-25MeV)にのみ信号が存在することを確認した。その後本実験に入りビームサイズを測定した。測定値は、σ_b=9.8±1.0μmである。この結果、ATFビームはほぼ設計値通りのビームサイズ(垂直)を有している事が判明した。なお測定されたコンプトン散乱光はエネルギースペクトルだけではなくその絶対的カウント数も誤差の範囲内で予想と一致した。これにより、このATFダンピングリングはこのエネルギー帯の電子リングとして世界最小のエミタンスを有する事を実証した。その後共振器に対して様々な改良を加えた後、再度ATF電子ビームのエミタンスを測定した。この測定の主たる目的は、極低エミタンス電子ビームに存すると予言されるToucheck効果によるビームサイズの増大である。以上により本研究は当初の目的を完全に達成する事が出来た。
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