研究概要 |
天体のHe燃焼期に起こる^<12>C+α→^<16>O+γの反応率は、天体のその後の命運を決める鍵であるが、実験的確定は極めて大きな技術的困難に阻まれてきた。本研究課題は、技術的困難を排除し、逆運動学反応(^2C(^4He,^<16>O)γ)で生成される^<16>Oを検出し、エネルギー分布からγ線角度分布を求めるものである。研究の性格上、多くの実験技術開発を行い、γ線角度分布観測法の有効性の検証も行った。 1.実験技術開発-加速器系 極端に断面積の小さい反応であるため、タンデム加速器によるビームの強度増強、質の改善、ビームのパルス化を行った。加減速強収束加速法を開発して実働させ、大口径気体電荷剥離器を開発・実装、及びビームパルス化装置の開発・実装(パルス幅5ns)を完了した。また、高強度イオン源の開発も並行した。 加速ビームの約1000倍増、ビームエミッタンスの2-5倍改善を果たした。 2.実験技術開発-観測系 ^<16>Oを分離検出する反跳核質量分析器を稼働させ、イオン光学特性の実験的解明により、測定系として確立した。また、^4He気体標的も設置した。一方、^<16>O(^<13>C,^<12>C[2+])^<17>O,^<16>O(^<11>B,^<12>C[2+])^<15>N反応を利用して、放出される^<12>Cのエネルギー測定を行い、本研究で考慮するγ線角度分布測定法が極めて有効であることを実証した、結果から、この実証実験に用いた反応の反応機構を解明した。 3.実験の開始と今後 実験を開始したが、バックグラウンドの詳細な解析が必要であった。3種類の発生原因を特定し、2種類の除去に成功した。残る1種について対策後の結果を調査中である。今後、このような実験-改良サイクルを繰り返し、収量の大きいエネルギー領域から順次低エネルギー領域の測定を行う。
|