研究分担者 |
小林 茂治 佐賀大学, 理工学部, 教授 (00039273)
森 茂樹 筑波大学, 物理工学系, 教授 (60100822)
稲垣 洋輔 東京家政大学, 短期大学部, 教授 (70266542)
前澤 秀樹 高エネルギー加速器, 研究機構・物質構造科学研究所・放射光源研究系, 教授 (40150015)
真木 晶弘 高エネルギー加速器, 研究機構・素粒子原子核研究所・物理第二研究系, 教授 (40044755)
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研究概要 |
我々は中性子寿命の値を平成10〜12年度の間に,0.1%の精度で測定する事を目的としている。このために冷中性子ビームを用いる“最も簡単な実験方法"を独自に考案した。即ち冷中性子ビームを真空槽中に導きカウンター系でビームを取囲む。この真空措槽中に^3Heガスを少量入れておく。上記のカウンター系によって中性子崩壊からのβ線と^3He(n,p)t反応からの陽子(又はトライトン)を同時に測定する。中性子寿命は,こうして得られるβ線の計数積分値と陽子の計数積分値との比を用い,^3He(n,p)t反応のδ_〓v_〓の値,1cc中の^3He原子の数,及び電子と陽子の計数効率をつかって算出される。上述の測定方法を実現するための電子・陽子同時測定用カウンター系の設計のために次の予備実験を行った;1.プラスチックシンチレータ中の光パルスの減衰長の測定をβ線源を用いて行った。結果は6mm厚さのシンチレータに対して60cm,これに6mm厚さのアクリルを裏打ちした時には80cmとなった。これによってカウンターの厚さを6mmとし,これに6mmの厚さのアクリルを裏打ちする事とした。2.長さ50cmのカウンターの両端へのパルスの到達時間差からβ線の入射位置を測定した。3.位置の情報と減衰長とを用いて各位置におけるパルス高の補正を行った。その結果両端からのパルスの和をとると,40cmの長さに亙って補正したパルス高の変動は2%以下となった。4.コンピュータ・シミュレーションによってカウンターの厚さが6mmと12mmとでβ線の検出効率に殆ど差がないことを確かめた。上述の1〜4の結果,カウンター系としては66mm(巾)×6mm(厚)×500mm(長)×4枚のプラステック・シンチレータを四角形に組み,各シンチレータの両端に光導管とPMTをつける構造とした。β線の後方散乱については,その角分布を測定中である。カウンター系のすぐ外側にアンタイ・カウンター系を配置し,これらを内蔵する真空槽及び高真空排気系その他を具備した中性子寿命測定装置一式を製作・完成し,KEKに納入された。種々の性能テストの後,来年度には日本原子力研究所東海研究所JRR-3M研究炉のC2-3ビームボートに設置し中性子寿命の測定を行う。
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